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 アイルランド・ゴールウェイ国立大学(NUIG)は、1849年の開学当初からアイルランドにおける工学の分野において教育・研究の中心をなしてきた。これまで13カ所に分かれていた校舎を統合し、2011年7月に工学部の新しい校舎が竣工した。土木工学、電子工学、生産工学、水質学、機械・生物工学の5つの専門分野が置かれている。

アイルランド・ゴールウェイ国立大学の新しい校舎。4階建て、400室、延べ1万4250m2にわたる。1100人の学生と110人の大学スタッフを収容する。設計はRMJMとテイラー・アーキテクツ。アラップは構造設計と音響設計を担当した(写真:Arup)
アイルランド・ゴールウェイ国立大学の新しい校舎。4階建て、400室、延べ1万4250m2にわたる。1100人の学生と110人の大学スタッフを収容する。設計はRMJMとテイラー・アーキテクツ。アラップは構造設計と音響設計を担当した(写真:Arup)

 校舎は、ゴールウェイで最も有名な川、コリブ川の岸辺に位置する。このことから、川の描くカーブに沿うような平面形状をしている。意匠的には控えめな印象を与えるが、工学部の校舎としての大きな役割があるのだ。

 その役割とは、「建築自身が教育ツールとして機能する」ということである。この建築は、自らが“生きた研究対象”として活用されている。

校舎の各所に盛り込まれたエンジニアリング技術の数々。学びのツールとしての試みが、校舎全体の雰囲気を壊すことなくちりばめられている(資料:Arup)
校舎の各所に盛り込まれたエンジニアリング技術の数々。学びのツールとしての試みが、校舎全体の雰囲気を壊すことなくちりばめられている(資料:Arup)