安藤忠雄・審査委員長のメッセージ全文
半世紀前に生まれた国立競技場を改築するにあたり、現代の技術と知性を結集した最高の建築を実現することを目指して、日本だけでなく広く世界にアイディアを募ったところ、意欲ある多くの応募がありました。
新国立競技場は、いくつもの困難な課題に応えなければなりません。
敷地条件が大変厳しく、狭い敷地の中に収容人数8万人の巨大なスケールのスタジアムを立体的におさめる必要があります。周囲の交通計画や大人数を処理する動線計画、臨場感ある観客席はもちろんのこと、スポーツだけでなく文化的利用も行う重層的なプログラムを実現するために、可動式屋根や可変的な観客席をサポートする最高レベルの技術が求められます。明治神宮を含めた周辺環境との対話や、地球環境に配慮した先進的な環境システムも備えなくてはなりません。加えてスケジュールも短く、2019年ラグビー・ワールドカップ開催に間に合わせる必要があります。
審査委員会で様々な観点から検討を行い、これらの困難さを超えて新しい時代の幕開けを告げる、ビジョンとメッセージを発信する11案を1次審査で選びました。地球の時代の、ひとつの見本となる建築が生まれることを期待しています。
最終審査対象作品
- コックス・アーキテクチャー ピーティーワイ エルティディ
- ポピュラス
- ユーエヌスタジオ/ヤマシタセッケイ
- ザハ・ハディド アーキテクト
- タバンルオールー・アーキッテクトス・コンサルタンシー・リミッティド・カンパニー
- ドレルゴットメ・タネ/アーシテクト & アー+アーシテクチゥール
- 梓設計
- 伊東豊雄建築設計事務所
- SANAA + 日建設計
- ゲーエムペー・インターナツィオナル・ゲーエムベーハー
- 環境デザイン研究所