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損保ジャパン本社ビルの外観。裾の広がった外観が特徴だ。「パンタロンビル」「スカートビル」といった愛称で呼ばれる(写真:ケンプラッツ)
損保ジャパン本社ビルの外観。裾の広がった外観が特徴だ。「パンタロンビル」「スカートビル」といった愛称で呼ばれる(写真:ケンプラッツ)

 損害保険ジャパンは11月2日、事業継続計画(BCP)の一環として、東京都新宿区の超高層「損保ジャパン本社ビル」で長周期地震動対策工事を始めたと発表した。2014年12月に工事を終える予定だ。総工事費は約30億円。対策工事の設計者、施工者など、詳細は公表していない。

 同ビルは、地下6階・地上43階建てで、高さ200m。構造形式は鉄骨造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造だ。建築家の故内田祥三氏らが設計に参画し、1976年に安田火災海上本社ビルとして竣工した。78年にBCS賞を受賞。2002年の損保ジャパンの発足に伴い、現在の名称に変更した。

 長周期地震動対策工事では、9階から41階に348台の油圧式ダンパーを順次、設置する。既存の梁の上下に取り付ける間柱型のダンパーを導入する。東海・東南海・南海地震といった巨大地震が発生しても、柱や梁が損傷しないレベルに耐震性を引き上げる。

 同社によると、11年3月の東日本大震災の発生時、同ビルは長周期地震動の影響で約10分間揺れ続け、最上階では95.7cmの最大変位が生じた。ダンパーを組み込むことで、最大変位を約30%低減できると試算している。

 損保ジャパンは、グループ会社の損保ジャパン・ビルマネジメントと共同で、東日本大震災が発生する2年以上前から長周期地震動対策の検討を進めてきた。12年9月に耐震性向上を目的とする構造方法について国土交通大臣認定を取得。10月に着工した。

 「損害保険会社として事業継続を重視している。災害時には、本社ビルに災害対策本部を置くことになる。本社ビルを改修することで、顧客のさらなる安心につなげたい」(損保ジャパン広報室)

 損保ジャパン本社ビルがある西新宿エリアでは、70年代に建設された初期超高層ビルが立ち並ぶ。09年に新宿センタービルが長周期地震動対策工事を完了。東京都庁第1本庁舎、第2本庁舎も14年から対策工事に着手する予定だ。