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 11月15日午後5時過ぎ、新国立競技場の国際デザイン・コンクールの審査結果が発表された。最優秀賞に選ばれたのは、ザハ・ハディド・アーキテクト。なぜザハ案が選ばれたのか、会見で配布された審査講評を全文掲載する。(ケンプラッツ編集部)

11月15日、審査結果を講評する安藤忠雄氏。国際デザイン・コンクール審査委員長を務めた(写真:日経アーキテクチュア)
11月15日、審査結果を講評する安藤忠雄氏。国際デザイン・コンクール審査委員長を務めた(写真:日経アーキテクチュア)

■審査講評

1964年の東京五輪という、日本国家の節目のときにつくられた国立競技場。

 戦後日本の、いわば復興の証であったその建物を建て替え、新たなスポーツの聖地をつくるべく、国際デザイン・コンクールが開催された。

 新国立競技場の施設に要求される機能条件は、旧競技場に比して膨大かつ複雑である。

 課題は大きく次の三つに集約される。

 第一は規模条件。現代の大規模なスポーツ国際大会の開催には8万人を収容できる会場が必要だ。その巨大スケールのボリュームを、絵画館や神宮球場、東京体育館などが隣接する狭い敷地の中に無理なく収めなければならない。

 第二は重層的なプログラム。陸上競技、ラグビー、サッカーといった異なるスポーツに対応した臨場感ある観客席の在り方が求められる一方、コンサートなど文化的な活用を可能とするために可動式の屋根や、芝生のメンテナンスのための技術が必須である。

 第三は建設スケジュール。新競技場は、すでに2019年に開催が決定しているラグビー・ワールドカップ、2020年の招致を目指すオリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとなることが決まっている。このタイトなスケジュールの中で設計から建設までを完遂しうる建築でなければならない。

 そして、これらの課題に応えた上で、現代のような停滞気味の社会状況の中で、国家プロジェクトとしてつくられる新競技場には、単純な施設拡充以上の、社会に対するメッセージ、新しい時代のシンボルとなるべき創造力が期待される。国際デザイン競技募集要項では、これを「地球人にとって希望の象徴となるべきデザイン」として表現した。