保存部を補強してから中央部分を解体
これまでの工事の流れは次のとおり。
まず、再利用する部材や製作物などを運び出し、各種調査の完了後、保存部の最下層である地下1階と地上1階の床に開けた穴から杭を新設する。
杭の打設は、室内からの作業になるので、コンパクトな重機を使った。鉄筋かごも短いものを吊り込みながらつないで、場所打ち杭を施工していった。その際、一部の松杭を撤去するが、このときは中央部分は解体前で構造が健全なので、それらが荷重を負担する。
杭の打設完了後、保存部の地下1階に厚さ1500mmの底版を打設して杭頭を固定すれば、中央部の解体に取りかかれる。中央部の躯体が下までなくなっても、保存部が自立できるからだ。
実際の工事では、保存部の底版が完成する前に、中央部の解体に着手した。5階のうち2階分は解体しても構造上、安全な計算だからだ。その範囲で解体を先行させて工程を稼いだ。