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カッターひとつも細心の注意

竹中工務店の根本真作業所長(写真:勝田尚哉)
竹中工務店の根本真作業所長(写真:勝田尚哉)

 施工を担当する竹中工務店の根本真作業所長は、「都の歴史的建造物に選定された建物なので、カッターひとつ入れるにも細心の注意を払った」と話す。

 例えば、重機が乗る部分や保存部の小口に、サポート補強を施す。壁1枚で自立して残す部分には、鋼材で火打ち式の補強を施している。このように、保存部を新築部に一体化させるまでの間、クラックなどが生じないよう工夫している。縁切り部はカッター施工後、手作業で丁寧に解体した。

通常は新築躯体にもたれる外部足場を自立させる鉄骨が入っている。右の保存部頂部と中層部の火打ち仮設梁、左の保存部床端部のサポートなどで補強されている。2012年7月28日撮影(写真:勝田尚哉)
通常は新築躯体にもたれる外部足場を自立させる鉄骨が入っている。右の保存部頂部と中層部の火打ち仮設梁、左の保存部床端部のサポートなどで補強されている。2012年7月28日撮影(写真:勝田尚哉)

 2012年11月現在、新築部の杭を施工するために、地中にある障害物の撤去作業を進めている。高層になる部分の直下で大きな軸力がかかることに加え、引き抜き力にも抵抗することが求められる。そのため、直径が3.2mにも及ぶ場所打ち杭を施工する。

 保存部で囲われた限られた空間で、直径3.2mの範囲の障害物を一度に撤去するのは現実的ではない。この現場では、直径が2mと1.2mのケーシング掘削機(CD機)を重ね打ちして障害物を撤去している。既存躯体のほか、調査で分からなかった昔の護岸造成に使ったと思われるグリ石なども出てきた。

限られた空間で地中の障害を撤去している。2012年11月7日撮影(写真:勝田尚哉)
限られた空間で地中の障害を撤去している。2012年11月7日撮影(写真:勝田尚哉)

 直径3.2mの杭施工後は、保存部の高さまでの低層部の躯体を鉄骨鉄筋コンクリートで構築し、保存部が新築部に抱き付くような形で剛接させて一体化する。その上の高層部は鉄骨造だ。高層部と低層部との間に免震層を設け、低層部に作用する水平力の負担を減らす構造になっている。