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特定街区制度で容積率を割増

 長く街と調和し親しまれてきた江戸橋倉庫ビルも、今日的なビル機能の確保と事業の拡充のために、再開発が検討され始めることになる。

 2005年以降、開発手法について中央区と東京都と協議を重ね、07年には東京都選定歴史的建造物に選ばれた。そして09年、東京都市計画特定街区への指定が都市計画決定された。これにより、「歴史的建造物等の保存・修復・復元による容積率割増」が適用されることになった。

 建物丸々の保存ではなく、外壁を7割、躯体を4割保存して中をくりぬいて建て替える手法を、三菱倉庫と三菱地所設計が考案した。特定街区制度を活用するに当たって、こうした保存手法は前例がなく、スキームの策定には同社、自治体とも時間を要した。

 10年に三菱地所設計と竹中工務店の共同設計となり、竹中工務店の提案で中間階免震を採用した。

竹中工務店東京本店設計部の加部佳治課長(写真:勝田尚哉)
竹中工務店東京本店設計部の加部佳治課長(写真:勝田尚哉)

 「保存部に構造的な負担をかけずに、一つの建物として保存部と新築部を、意匠的にも構造的にも一体化させる」。竹中工務店東京本店設計部の加部佳治課長は、設計のポイントをこのように説明する。

 免震化によって地震時の低層部への水平力負担は大きく減る。さらに、高層部の躯体は軽量化されて、平時の鉛直荷重も小さくなる。

 保存部の梁のないフラットスラブ構造の躯体はそのまま活用し、往時のオフィスと倉庫空間のテイストを演出する。さらに、江戸橋倉庫ビルの特徴だった船橋状の塔屋、玄関ホールの大理石、階段手すり、金庫扉、屋上のウィンチ室なども保存して再利用する。意匠的な処理が楽しみなところだ。

 6階から17階までの高層部を賃貸オフィスとし、2階から5階までの低層部は、トランクルームと同社本店事務所として利用する予定だ。建築環境総合性能評価システム(CASBEE)で最高のSランク取得を目指す環境性能と、入居企業のBCP(事業継続計画)拠点として機能できる防災性能を備えた建物として、14年8月の竣工を目指す。

■新築部の施工手順
新築部の施工手順1(資料:竹中工務店)
新築部の施工手順2(資料:竹中工務店)

新築部の施工手順3(資料:竹中工務店)
新築部の施工手順4(資料:竹中工務店)

(資料:竹中工務店)