「消費税率の引き上げに際しては、新たな負担が発生しない形での対策が不可欠である」――。日本経済団体連合会は11月20日、こうした提案を盛り込んだ「豊かな生活を形づくるための住宅政策のあり方」を発表した。過去に提言してきた住宅を取得しやすい環境を整える策に加え、消費税増税対策や、中古住宅の流通やリフォームを促す策などを盛り込んでいる。
提言で示した政策は、以下の4項目だ。
- (1)経済対策としての住宅政策~税制面での十分かつ適切な対応
- (2)質の高い住宅の普及促進のための予算措置の充実
- (3)企業活動の活性化につながる規制改革の推進
- (4)海外市場を求める企業への支援
消費税増税対策は、「(1)経済対策としての住宅政策」に盛り込んだ。1997年の消費税率引き上げの際には住宅着工戸数が数十万戸単位で減少したことや、リフォームを伴う中古住宅の販売にも悪影響を与えることを理由に、「住宅産業全体、ひいてはわが国経済に与えるマイナスの影響は計り知れない」と分析。「駆け込み需要やその反動減といった経済活動の振幅の抑制や、国民が施策に左右されず安心して住宅を購入できる環境を実現すべき」と提案した。消費税に関連して、住宅取得時に土地・建物に対して不動産取得税などの課税が重層的に行われている状況を改善し、諸課税の整理・簡素化が重要とも指摘する。
住宅購入の支援については、住宅ローン減税や住宅取得等資金にかかる贈与税の非課税措置、認定長期優良住宅を対象とした投資型減税といった既存の施策が重要だと評価する。このほか、経団連が平成25年度(2013年度)税制改正に関連して提言した下記の項目を例示した。
- 高齢者の居住の安定と安心の確保の観点からサービス付高齢者向け住宅供給促進税制の延長
- 省エネ改修促進税制の延長
- バリアフリー改修促進税制の延長
- 住宅の取得・保有の負担軽減につながる住宅にかかる登録免許税の軽減措置の延長
- 省エネ化促進の観点からのグリーン投資減税における対象設備の拡大(燃料電池、蓄電池、V2H(Vehicle to Home、車から家へ電気を送る)設備)
- 中古住宅の流通促進
- 住宅ストックの循環利用を図る観点からの税制特例の適用要件の合理化
- 都市再生や良質な住環境の形成・防災対応の強化という観点からの都市再生促進税制
- 市街地再開発促進税制の延長