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 新国立競技場の国際デザイン・コンクールで、ザハ・ハディド氏が最優秀賞に選ばれてから約1カ月。彼女を紹介する記事も多々見受けられたが、「アンビルト(建築されていないこと)の女王」という冠詞がいまだに付いていることに若干の違和感を拭えずにいる。

 日本で実現した彼女の作品は、2008年の「モバイルアート シャネルコンテンポラリー アートコンテイナー」が記憶に新しい。しかし、移動式パビリオンというコンセプトだったため、約1カ月という短期間のお目見えだった。それでも、「これぞ、ザハ」という造形に対する強いこだわりと、ファサードが空間をも構成していく手法を目の当たりにした。

サラゴサ万博のパビリオン・ブリッジ

 アラップ東京事務所に在籍する構造エンジニア・金田充弘は、ハディド氏のプロジェクトを担当した経験を持つ。

 08年に開催したスペイン・サラゴサ万博のパビリオン・ブリッジ。文字通りパビリオン機能を持つ橋である。ここでは、彼女の作成した3Dモデルからジオメトリ(幾何学的な配置・形状)を取り込んで分析し、湾曲した形状を実現するとともに、ファサードのパネル割りにも合理性を持たせた。

サラゴサ万博のパビリオン・ブリッジ内部。ザハ・ハディド氏らしい、曲線がつくり出す未来的な空間(写真:FG+SG Fotografia de Arquitectura)
サラゴサ万博のパビリオン・ブリッジ内部。ザハ・ハディド氏らしい、曲線がつくり出す未来的な空間(写真:FG+SG Fotografia de Arquitectura)

 金田によれば、「ハディド氏にとって、形へのこだわりはもとより、建築とファサードの融合が非常に大切」であり、「ガラスの多用やコンクリートの素地をあらわしにすることは比較的少なく、クラディング(金属や石などによる被覆)など既存のシステムによるパネル割りなどに注力している」そうだ。