修理や修繕などの小口リフォーム市場に大手や異業種の企業が続々と参入している。彼らが、どのようにして採算が取れるビジネスモデルを構築しようとしているのかを住宅雑誌「日経ホームビルダー」で特集した。その一部をシリーズで紹介する。
「なおしや又兵衛」の名称で2001年に小口修繕サービスをスタートしたゼネコンの前田建設工業。関連部門が独立したJMは、建物の点検・修繕サービスに関する独自の仕組みを構築した。携帯電話などの情報通信技術を駆使した新しいビジネスモデルだ。セブン-イレブン・ジャパンなど大口の契約を増やし、売上を大幅に伸ばしている。
JMの2011年度の売上高は、200億円を突破した。前年度のほぼ2倍だ。従来の定期点検や修繕工事に加えて、既存コンビニ店舗へのLED照明設置など提携先企業からの発注が大きく増えてきたからだ。12年度からは、修繕分野で培った信頼を背景にセブン-イレブン・ジャパンが新規出店予定の年間1500店舗の設計協力を開始した。
提携先企業からの評価を高めるのに一役買っているのが、独自に開発した業務支援システムだ。東京と長野に設置したマネジメントセンターに寄せられる年間30万件以上の受付記録、マネジメントセンターから工務店や職人への作業指示、年間10万件を超える工事記録と作業報告などのデータを全てリアルタイムに蓄積する。しかも発注者は、いつでも記録を閲覧できる。こうしたスピード感と透明性が提携先の評価につながっている。
JMが目指すのは、建設実務者が建物や社会インフラを診断・治療する「医者」のような存在になることだ。人が健康で長生きするには、病気の「治療」だけでなく、「疾病予防」と「健康増進」が重要。同様に、建物でも修繕だけでなく、耐用年数を迎えた部材・機器を不具合が生じる前に取り換えたり、まだ使用できる部材・機器でも取り換えることで管理運営費を削減できることがある。計画的な修繕を提案できる会社が、建物や街の「医者」になれる。
日経ホームビルダー2013年1月号の特集「大手が仕掛けるリフォーム攻略策」では、JM代表取締役社長の大竹弘孝さんのインタビューを掲載しています。そちらもご覧ください。