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修理や修繕などの小口リフォーム市場に大手や異業種の企業が続々と参入している。彼らが、どのようにして採算が取れるビジネスモデルを構築しようとしているのかを住宅雑誌「日経ホームビルダー」で特集した。その一部をシリーズで紹介する。


 三井不動産グループは住宅事業部門を再編し、本格的にストックビジネスに乗り出している。その鍵を握るのが住生活サービス会社「すまいサポート」だ。2008年に設立した。リフォーム工事は大型案件ばかりを狙って受注できるわけではない。すまいサポートが幅広いリフォーム需要の受け皿となって、案件の仕分け機能を担う。

 すまいサポートの役割は、グループ会社の営業支援という側面が強い。新規顧客の獲得先も基本的には3つに絞っており、三井不動産リアルティが扱う仲介物件の購入者、マンション管理会社の三井不動産住宅サービスの管理物件の所有者、12年4月から三井不動産が始めた会員サービス「三井のすまいLOOP」の会員が中心だ。すまいLOOPはスタートしたばかりで会員数もまだ公表されていない。それでも仲介物件と管理物件だけで11年度に約6000件のリフォーム工事を受注した。その中には500万円以上の工事も約80件含まれる。「一本釣りで大物を狙うのではなく、網を揚げたらたまに大物もかかっている」というわけだ。

三井不動産グループにおけるすまいサポートの役割。グループ内の仲介や分譲、管理の物件からリフォームの依頼がある (取材を基に千葉利宏が作成)
三井不動産グループにおけるすまいサポートの役割。グループ内の仲介や分譲、管理の物件からリフォームの依頼がある (取材を基に千葉利宏が作成)

仲介物件におけるリフォームの費用内訳(資料:すまいサポート)
仲介物件におけるリフォームの費用内訳(資料:すまいサポート)

管理物件におけるリフォームの費用内訳(資料:すまいサポート)
管理物件におけるリフォームの費用内訳(資料:すまいサポート)

 今後は三井不動産グループで発生する新規案件に対応しながら、すまいサポートのサービスを利用して満足した既存顧客からのリピート需要に積極的に対応していく。既存顧客を育てていくことで、三井不動産リフォームが得意とする大型案件の獲得にもつなげていく作戦だ。

 三井不動産グループ全体の住宅ストックは、三井ホームがつくってきた住宅と、三井不動産レジデンシャルが供給・管理する住宅(三井ホーム以外がつくった戸建て住宅を含む)に大きく分かれる。すまいサポートは、三井不動産レジデンシャルの住宅の窓口を担っていく。12年4月の事業再編では、三井ホームの子会社だった三井デザインテックを分割して三井不動産本体の子会社「三井不動産リフォーム」に格上げ。すまいサポートにも三井不動産本体が出資して位置付けを強化した。


 日経ホームビルダー2013年1月号の特集「大手が仕掛けるリフォーム攻略策」では、すまいサポート代表取締役社長の林達哉さんのインタビューを掲載しています。そちらもご覧ください。