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工法の汎用性と安全性を追求

 超高層ビルの解体は、外周に仮設の足場を取り付けて上から壊す方法のほか、建物全体を地上付近のジャッキで支えて「だるま落とし」のように下から壊す方法などがある。

 大成建設が開発したテコレップシステムは、「ジャッキで支える重さはできるだけ軽い方が安全」(市原次長)と考えて、前者の上から壊す解体方法を選択。さらに、様々な形状や条件の超高層ビルに対応できる汎用性の高い方法を編み出した。

 それが、既存の屋根そのものを蓋として使って、建物上部に閉鎖空間をつくる方法だ。既存の屋根は仮設材でつくる覆いと比べて重いのが難点だが、地震や強風に耐えられやすい。

 もし仮設材で覆う場合、解体する建物の形状が代わるごとに新しい覆いをつくり直さなければならない。しかも、平面が大きな建物になると、仮設材の覆いも大きく重たくなる。

外周の足場は地組みした後、屋上に設置したクレーンでつり上げた。テコレップとは「大成(Taisei)エコロジカル(ECOlogical)リプロダクション(REProduction)」の略語だ(写真:大成建設)
外周の足場は地組みした後、屋上に設置したクレーンでつり上げた。テコレップとは「大成(Taisei)エコロジカル(ECOlogical)リプロダクション(REProduction)」の略語だ(写真:大成建設)

 「既存の屋根であれば、どんな建物でもそのまま覆いとして使える。工法を開発する際、建て替え計画が持ち上がっている複数の超高層ビルを調査して、工法が適用できることを確かめた」と市原次長は話す。

 外周につり下げる足場も、強度の高いテコレップシステム専用のものを開発。何度も転用できるようにした。

 建物上部の閉鎖空間で解体工事をすることで、騒音を15デシベル以上低減し、粉じんの飛散を90%削減できる。「騒音や粉じんが最も出やすい重機を使って解体作業した場合でも達成できる数値だ。カッターなどを使って静かに解体すれば、外に出る騒音や粉じんをさらに抑えられる」と市原次長は自信を見せる。

 超高層ビルの解体では従来、建物の内部や外部にタワークレーンを立てるケースが多かった。タワークレーンは建物の外周に取り付けた足場を解体に合わせてつり下ろす際などに使う。しかし、この方法では建物の上面を覆うことが難しく、騒音や粉じんを完全に防げない。

 テコレップシステムでは、外周に足場を取り付ける最初の1カ月間だけ、建物上部にクレーンを設置する。その後はクレーンを撤去。クレーンの代わりに仮設柱に備えたジャッキを使って、既存の屋根と足場を建物の解体とともに下げていく。