段取りの手間を省いて工期を2カ月短縮
もう1つの違いは、既存の屋根と外周の足場をジャッキダウンするタイミングだ。
旧大手町フィナンシャルセンターは約4mの階高があったため、1層分の解体を終えるごとに屋根と足場をジャッキダウンした。1層分の解体と屋根のジャッキダウンにかかる1サイクルの工期は6日だった。
一方、赤プリの階高は3.2mとやや低いため、2層分を解体するごとにジャッキダウンする方法に改めた。1層ごとに解体とジャッキダウンを繰り返すのと比べて、解体前の準備や解体後の片付けの手間が減る。ジャッキダウンの手間も同様だ。
「解体とジャッキダウンの段取りが半減するので、全体では2カ月の工期短縮になる」と市原次長は言う。
テコレップシステムは高さがおおむね100m以上の超高層ビルの解体に使うと、費用や工期などの面で有利になる。
大成建設によると、国内にある高さ100m以上の超高層は700棟以上。うち100棟以上が築20年を過ぎており、天井高や耐震性能の不足、周辺の再開発などによって、建て替えが選択肢の1つとなりつつある。
「建物を長く使い続けてほしい気持ちはある。しかし、様々な理由で解体される建物があるのも事実。近隣に迷惑を掛けず、安全に解体することも使命だ」と市原次長。汎用性の高いテコレップシステムは国内だけでなく、海外でも需要があると見て、展開を目指している。