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短命での解体に納得できるか──。日経アーキテクチュアが建築実務者を対象にアンケート調査を実施したところ、建物によって評価が分かれた。多くの実務者が長寿命を理想としつつも、現実とのギャップに直面している。

 旧赤坂プリンスホテル新館(赤プリ)、旧日本長期信用銀行本店ビル、ソフィテル東京。短命に終わった3つの超高層ビルについて、解体に納得できるかどうかを尋ねた。

建物の解体に納得できるか
日経BP社の建設総合サイト「ケンプラッツ」で1月下旬、建築実務者を対象にアンケート調査した結果。有効回答は197人。回答者の勤務先は、設計事務所が70人、建設会社や工務店、住宅メーカーが計51人、デベロッパーが20人などだった(写真と資料:日経アーキテクチュア)
日経BP社の建設総合サイト「ケンプラッツ」で1月下旬、建築実務者を対象にアンケート調査した結果。有効回答は197人。回答者の勤務先は、設計事務所が70人、建設会社や工務店、住宅メーカーが計51人、デベロッパーが20人などだった(写真と資料:日経アーキテクチュア)

 赤プリは約140mの高さがあった。赤坂プリンスホテル(当時)の新館として1982年に完成し、翌83年に営業を開始。丹下健三氏が設計を手掛け、鹿島が施工した。

 建物を保有する西武プロパティーズ(埼玉県所沢市)は2010年4月、ホテルの営業を11年3月に終えると発表。高さ180mのオフィス・ホテル棟と同90mの住宅棟に建て替える。赤プリの解体工事は12年秋から本格的に始まった。「寿命」は30年だった。

 高さ約130mの旧長銀ビルは93年に完成。設計は日建設計が、施工は竹中工務店がそれぞれ担当した。98年に建築主の長銀が経営破綻。事業を受け継いだ新生銀行が入居を続けたものの、10年に退去した後は空きビルの状態が続いていた。

 12年12月に不動産投資ビジネスを手掛けるケネディクスと東急不動産、日本政策投資銀行が共同で設立した特別目的会社が土地と建物を取得。13年中にも解体工事に着手して、賃貸オフィスビルへの建て替え事業を進める計画だ。旧長銀ビルの寿命は20年だった。

 ソフィテル東京は、建築家の菊竹清訓氏が設計した高さ約110mのホテル。上野公園の不忍池のそばに94年に完成した。開業当時はホテルCOSIMA(コジマ)と呼ばれた。メタボリズムに基づく「樹状住居」の構想を具現化した建物で、左右に張り出した客室を垂直に積み重ねた外観が特徴だった。

 客室数が83と少なかったうえ、交通の便がやや悪かったことが弱点となり、06年に閉館に追い込まれた。三井不動産レジデンシャルが土地と建物を買い取って、07年にホテルを解体。跡地にタワーマンションを建てた。ソフィテル東京の寿命は13年だった。