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 ところで、制震構造とは、具体的にどのようにして地震の揺れを「制御」しているのだろう。五十田教授に説明をお願いした。

 「制震に限らず、どの地震対策においても、大きな地震が来ると、結局は、どこかが壊れて、地震エネルギー吸収し、建物の倒壊を防ぐという現象になります」。

耐震、免震、制震の地震エネルギーの吸収の仕方
耐震、免震、制震の地震エネルギーの吸収の仕方

 これらの違いが、大きな地震のあと、耐震構造ではある程度の性能の劣化が避けられず、制震構造は性能の劣化を低く抑えられ、免震は免震装置のメンテナンスの必要はあるが、建物はほとんど損傷せずにすむというメリット・デメリットにつながる。

 特に「制震」にとって重要なポイントが、地震の揺れを吸収する装置「制震ダンパー」の設置方法だ。

 制震構造の場合、震動をできるだけ制震ダンパーに集中させ、そこでエネルギーを吸収することで、揺れを抑え、建物の損傷を軽減する。言い換えれば、建物の揺れがきちんと制震ダンパーに伝わらなければ、その性能を発揮できない。

 五十田教授が説明する。「ですから、こういう基礎ならこう評価して、こういう方法で補強しなさいというルールまですべて決めて、その制震構造の性能が発揮できる条件を整える必要があるのです」。

 五十田教授がメーカーと共同開発した制震ダンパーがあるということで、その実際を確かめるべく、神戸市中央区にある住友ゴム工業の本社を訪れた。