ダンロップやファルケンなど、タイヤの製造販売を主とする住友ゴム工業が、なぜ「制震ダンパー」を開発したのか。理由は、制震ダンパーの心臓部とも言える「地震の揺れを制御する材料」に高減衰ゴムが力を発揮するからだった。
「当社が開発した高減衰ゴムによって、「住宅用制震ダンパー『MIRAIE(ミライエ)』は、地震の揺れを最大70%吸収できます」。住友ゴム工業 制振事業推進部ビジネスチームリーダーの松本達治氏は言う。
(※注 振動台実験の結果によるもので建物プランや地震波などの条件によって異なる)
MIRAIEは、底部を建物の土台に固定し、一階と二階の間の梁に固定した部分の『高減衰ゴム』によって、地震の揺れを吸収する。この「最大70%」という地震の揺れの吸収率は「阪神・淡路大震災レベルの揺れ」に対する実大振動台の実験によって算出された。

- 建物:木造軸組工法による2階建て想定モデル1階部分
- 建物形状:2.73m×2.73m
- 建物総重量:31.6kN(3.2tf)
- 入力波:1995年兵庫県南部地震 震度6強 最大加速度818gal


「本震はもちろん、何度も発生する余震に強いのも、MIRAIEの特長です」(松本氏)。この「くり返す巨大地震波に対する強さ」も、同実大振動実験によって確認されたという。また高減衰ゴムは90年(※注 住友ゴムの促進劣化試験の結果による)経過しても性能が変わらず、部品の交換や点検、メンテナンスの必要もない。
次回は、最先端技術で高い制震性能を発揮する「高減衰ゴム」の秘密に迫る。