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上空に制約、日本に3台しかない機械で杭打設

鉄道軌道より低い位置で杭を施工できるクワトロカッター。日本に3台しかないという(写真:JR東日本)
鉄道軌道より低い位置で杭を施工できるクワトロカッター。日本に3台しかないという(写真:JR東日本)

 難工事は鉄骨工事の前から始まっていた。既存建物の地上部分を解体した後、既存の地下躯体が残った状態で山留め杭と、既存躯体に穴を開けて構台杭を打ち、地表レベルに構台を造った。その構台上からやはり既存躯体を切り抜きながら本杭を施工した後、順次、既存躯体の解体と地盤掘削を進めた。

 山留めに切り梁を入れながら下まで堀りきって、下から順打ちで地下躯体を構築していった。この手順は地下の順打ち施工法として一般的なものだ。ただし、周辺の鉄道施設や地下街といった構造物に対して特別な注意が必要で、計測管理を徹底した。

 鉄道軌道やバスターミナル、タクシープールに対する安全に万全を期して、山留め杭と構台杭の施工はクワトロカッターという日本に3台しかない低空頭の施工機械を使った。このようにして地下と地上の立ち上がり部の躯体を構築してから、大屋根の鉄骨工事に進めることができた。

繰り返された駅通路切り替えは27回

 当たり前だが、駅には休みがない。工期中においても八重洲口の中央北・中央南・南の1階3ルートと、地下1・2階の3ルートの計6カ所の通路機能を維持し続ける必要があった。

 既存通路部を解体するには、まず近くに別の通路を確保して切り替える。そして、新設躯体を造るにも通路部をあらかじめ構築するなどして切り替え、それから着手となる。通路は仮設、本設が入り乱れ、それら手順が6カ所ごとに施された結果、通路切り替えは27回にも及んだ。工事を進めるに当たって、通路の切り替えが工程のキーになっていたと言っても過言ではない。

 「しぶとい闘いだった」(川端弘樹所長)。往来が激しい東京駅特有の工事の難しさだと言える。