(1)足固貫(あしがためぬき)
今日的な木造においてはごく軽微な部材になっている床下の貫(ぬき)は、さかのぼって調査してみると室町時代頃までは、明らかに水平力を負担できる巨大な部材が使われていた。
このプロジェクトでは、慈照寺東求堂(1485年、室町後期)をモデルに、柱と一体化して剛性を発揮する仕口を考案し、採用した。この貫は水平力を負担する。柱脚はベタ基礎に据えられた花こう岩の礎石に直接乗せ、上部構造の水平力による柱脚部の移動に対しては、礎石上に半球状につくり出した「ほぞ」で横移動を拘束。引き抜き力が生じる柱に対しては、足固貫の柱際にアンカーボルトを施し、柱の浮き上がりを押さえる。