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 「お宅の外壁、崩れ落ちましたよ」──。隣の住人から連絡を受けた住まい手は、慌てて外壁の塗装会社に相談。根本的に改修が必要と判断した塗装会社は、さらに、リフォームや新築などを手掛けるエスエー企画(群馬県渋川市)に話を持ちかけた。連絡を受けて駆け付けたエスエー企画社長の岩崎武栄さん。落ちた窯業系のサイディングを見つけて近寄ると、想像以上の惨状に驚いた。

中央の写真は、外壁が崩れ落ちた住宅の様子。右側のブルーシートで覆っている出隅の外壁材(窯業系サイディングのコーナー材)が落ちた。右の写真はコーナー材が崩れ落ちた部分。中の柱や面材などは腐って異臭を放っていた。左の写真は、壁の一部を拡大したもの。壁は、左側が石を横積みにしたデザインで、右側が縦積みにしたデザイン。右側の壁はよく見ると、横張り用サイディングを縦に張っていた(写真:エスエー企画)
中央の写真は、外壁が崩れ落ちた住宅の様子。右側のブルーシートで覆っている出隅の外壁材(窯業系サイディングのコーナー材)が落ちた。右の写真はコーナー材が崩れ落ちた部分。中の柱や面材などは腐って異臭を放っていた。左の写真は、壁の一部を拡大したもの。壁は、左側が石を横積みにしたデザインで、右側が縦積みにしたデザイン。右側の壁はよく見ると、横張り用サイディングを縦に張っていた(写真:エスエー企画)

無理な張り付けが原因

 サイディングが崩れ落ちたのは、建物正面の右側、出隅の部分(上の写真ではブルーシートで覆った部分)。建物は中古で購入したもので、築約19年。既に施工した住宅会社は廃業していた。壁は通気工法ではなかった。面材の木は腐り、ぐずぐずな状態。異臭が生じていたという。

 中をのぞくと、広範囲で木部がぼろぼろに腐っていた。くぎを支えるほどの耐力もない状態だったことから、サイディングを留め付けていたくぎが抜け落ち外壁(メーカー純正のコーナー材)が剥がれたと考えられる。幸いにも、被害が生じた箇所は、建物の一部を張り出したふかし壁の部分。腐食部分は、建物自体の構造にかかわるものではなかった。

サイディングが崩れ落ちた現場の横断面図(資料:日経ホームビルダー)
サイディングが崩れ落ちた現場の横断面図(資料:日経ホームビルダー)

 外壁が崩れ落ちた主な原因は、「横張り専用のサイディングを無理矢理、縦にして留め付けていたこと」と岩崎さんは推測する。よく見るとふかし壁の部分は、出隅付近だけサイディングの石積み模様が縦になるように施工されていた。

 縦に張られたサイディングを確認すると、縦目地や横目地といったつなぎ合わせた部分に施工したシーリング材が剥がれかけ、隙間が生じていた。さらに、つなぎ合わせ目には雨水を浸入しにくくする、いわゆる合いじゃくりといった仕組みも切り落とされており、誤った施工方法でサイディングが納められていた。このため、シーリングの隙間から雨水が壁内に浸入していたと考えられる。常に雨水にさらされていたのか、サイディングが水を含み、コケやキノコが生える状態だった。

 壁内に浸入した雨水は、透湿防水シートの表面を伝って土台まで流れたが、ここにも問題があった。雨水を外に排出するために設ける水切りが、外壁下部に取り付けられていなかったのだ。透湿防水シートとサイディングとの間を流れた雨水は外に排出されず、土台や基礎を濡らし、常に湿った状態になっていたようだ。これも被害を大きくした原因の1つと考えられる。

コーナー材の表面は一部が剥がれ、コケが繁殖(右端の写真)。場所によっては、キノコが生えていたという。無理に縦張りで納めた箇所は、縦横とも目地のシーリングが浮き上がり隙間が生じていた(右から2番目の写真)。サイディングを剥がすと、劣化してぼろぼろになった透湿防水シートが現れた(左から2番目の写真)。下地となった面材は、雨水などの水分が常に掛かっていたせいか、水分を吸い込んだ状態で腐っていた(左端の写真)(写真:エスエー企画)
コーナー材の表面は一部が剥がれ、コケが繁殖(右端の写真)。場所によっては、キノコが生えていたという。無理に縦張りで納めた箇所は、縦横とも目地のシーリングが浮き上がり隙間が生じていた(右から2番目の写真)。サイディングを剥がすと、劣化してぼろぼろになった透湿防水シートが現れた(左から2番目の写真)。下地となった面材は、雨水などの水分が常に掛かっていたせいか、水分を吸い込んだ状態で腐っていた(左端の写真)(写真:エスエー企画)