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視点3 高齢者への配慮は細部のつくりに出る

 高齢者が快適に暮らせるかどうかは、細かいところにまで配慮が届いているかによって左右されます。

 例えば、設備などの「高さ」に考えが行き届いているかどうか。多くの施設でコンセントの位置が低過ぎるのではないでしょうか。高齢者にとって、腰をかがめてプラグを差し込むのは一苦労です。介護のヘルパーにとっても、もっと高い位置にコンセントがあった方が掃除などを効率的に進められるでしょう。

 洗面所の鏡も気になります。健常者の高さに鏡を設置したため、車椅子の人にとっては頭も写らないことが意外に多いのです。なかには、鏡に傾斜(角度)を付けて低い位置から見えるようにしているところもあります。ただ、これでは、いかにも身障者対応という感じで、自分の家だと思って暮らしたい人たちには、あまり気持ちのいいものではありません。蛇口と同じ高さに鏡を設置するように配慮すべきでしょう。

 ドアの鍵穴やのぞき窓の高さも気になります。車椅子に乗っている高齢者に届かない鍵穴。腰が曲がっている女性のはるか上にあるのぞき窓。鍵をかけたり、部屋から外をのぞいたりすることは少ないかもしれません。それでも、使えもしないものが目に入ると入居者は気に障るでしょう。

 共用スペースにある個人の郵便受けの下には、ハンドバッグなどを置く台を設置するといいのではないでしょうか。若ければカバンを片手に持って、郵便を取り出せます。でも、お年寄りにはまずそんなことはできません。カバンを床に置きたくないという人も多いのです。ですから、郵便受けの下にちょっとした出っ張りでいいので、カバンを置いて郵便を仕舞う作業ができる台を設けると喜ばれます。

 一般的なトイレでは、両サイドの壁に肘掛けや手すりが設置されています。ある施設では、壁から引き出した手すりを身体の前に持ってこられるようにしていました。身体を預けられる手すりが前方にもあると、入居者もつんのめることなく安心できます。

 細かい配慮の例を挙げるとキリがありません。設計者や建設関係者は、現場の介護スタッフや入居者の声にもっと耳を傾けるべきでしょう。現場を訪れて、使い勝手や不便なところをヒアリングすることで、現場に必要なものを探ってほしいと思います。