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標準解答例1と2の差異が意味すること

 さて、再現図面を講評する前に、JAEICが提示した本年度の標準解答例1と2及び採点のポイントについて触れておきましょう。この2つの解答例には大きな落差ともいえる差異があったからです。

 標準解答例1は多数派の典型とも呼べる類の例で、前述した4つの特徴、3つのポイントについて、まさしく標準的な、あるいは常識的な解答になっています。受験生の大多数は、この解答例と類似点を多く持つ答案を提出したことでしょうし、それは再現図面の縦覧でも確認できます。

 一方、標準解答例2は、おそらくこのようなプランを考える受験生はほぼ皆無であろうと思えるほど特異な解答例でした。受験生の多くもこの解答例には驚いたことと思います。

具体的には、
北から南に下がる地形勾配に対して直行する屋根勾配を持つ2つの切妻屋根の採用
西側を除く3方の周辺環境は自然豊かで良好であるにも関わらず中庭を計画
研修部門及び宿泊部門を上下階に分けず、東西に分離する計画
眺望配慮の条件がかかる浴室をあえて北側向けに計画
という点でした。

 上記4点はどれも実際の建築計画としてはあり得るものですが、従来の製図試験の常識では、あえて答案とするにはリスクが高いと考えられることばかりです。事実、再現図面を眺める限りでは、上記4点の全てはもちろん、いずれかひとつの特徴を備える答案すらごく稀でした。

 例年、2例が示される標準解答例のうち、ひとつは「答案図面の中での多数派」とでも言えるような受験生にとっては常識的な解答例であり、他方は少数派と呼べるような特徴的な計画や少々欠点が含まれているように見える解答例の組合せであることが多かったのですが、本年度の2については例年以上に「極めて変わった解答例」と言え、どうも「ここまではやってもよい」と例示しているように思えます。つまり、試験作成元のJAEICの公表内容を好意的に解釈するならば、標準解答例1と2の共通項部分こそが、合格と判定されるために必須の事項であるということを示している可能性があります。

 そこでちょっと暴れ気味の標準解答例2について、公開されている採点のポイントと照らし合わせながら読み込み、標準解答例2が採点のポイントに対してどう評価されそうな例なのかを想像してみましょう。