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問題が発覚した後の対応

Q─なぜ、この段階で、工事をいったんストップして、対応策を考えなかったのか。

 A─報道によれば、2013年8月の段階で、設備工事担当者から現場所長に「スリーブにミスがある」と報告されていた。しかし、現場所長は「不具合の対処をするように」と指示しただけだったとされる。

 設備工事担当者の報告が甘かったのか、あるいは現場所長の認識が甘かったのかはよく分からない。けれども、この瞬間が、工事大失敗への決定的なターニングポイント(転換点)になったと思われる。

Q─失敗の責任者は設備工事担当者なのか。

 A─その通りだ。ただし、スリーブ施工図をチェックしなかった設備設計者や設計監理者(設計事務所)、現場所長(施工会社)にも相応の責任がある。また事業主は「チェックアイズ」という独自の検査システムを有し、検査のスペシャリストを揃えていながら見抜けなかったのだから、責任がないとはいえない。

Q─ザ・パークハウスシリーズでは、「チェックアイズ」と「住宅性能表示制度」のダブルチェックを実施している。性能評価機関はスリーブ不足を見抜けなかったのか。

 A─この建物は地下1階・地上7階なので、評価機関が現場検査をする時期は、基礎配筋工事完了時、2階床の躯体工事完了時、竣工時に限られる。それを考慮すると、見抜くのは難しいかもしれない。

Q─スリーブを忘れた場合、コンクリートをコア抜きしてはいけないのか。

 A─この現場でも、コア抜きしたため鉄筋を切断したと報道されている。ただし、刃先にダイヤモンドチップのついたダイヤモンドカッターで、コンクリートに穴を開けると、間違って鉄筋を切断してしまう恐れがある。数カ所ならまだしも、600個所だと困難に近いのではないか。

Q─なぜ困難に近いのか。

 A─コア抜きで鉄筋を傷つけないようにするためには、慎重を期さなければならないので、どうしても時間がかかる。また深刻な人手不足が続く現場では、必要な作業員を確保するのも難しいかもしれない。そのあたりを考慮して、現場所長は約1年かかると説明したと伝えられている。

 ただ、工期を延ばすためには事情をきちんと説明する必要がある。そうなると、多くの購入者は「きず物は困る」としてクレームを付けるだろうし、事業主や施工会社の社会的なイメージも大きくダウンする懸念がある。

 また、600個所をコア抜きして鉄筋を傷つけてしまうと、場合によっては建築基準法が定める構造強度を下回る恐れもある。その状態で販売してしまうと、耐震偽装の姉歯事件の二の舞になり、購入者が損害を被るのに加えて、事業主や施工会社などが法的に処分されるという最悪の事態を招くリスクもある。

Q─今回の工事は欠陥工事ということになるのか。

 A─厳密にいうと、欠陥工事や手抜き工事ではなく、手抜かり工事と呼ぶのが正しい。ただ、コア抜き工事を強行して、構造強度が弱い状態で購入者に引き渡すと、欠陥工事とか隠蔽工事などと呼ばれたはずだ。紙一重の実に危うい状態だった。