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長野県にスリーブ入れ忘れでマンション解体の前例

 東京都港区南青山に建つ完成間近の億ション「ザ・パークハウスグラン南青山高樹町」で、多数のスリーブ(貫通孔)を入れ忘れたため、購入者の契約解除にまで発展した「工事失敗事件」に、極めて類似した前例が2008年に長野県で発生。建物は最終的に解体されていた。

「サンクレイドル佐久平」概要

  • 所在地─長野県佐久市
  • 規模─地上11階・地下1階
  • 構造─鉄筋コンクリート造
  • 延べ面積─5911m2
  • 戸数─49戸
  • 事業主─アーネストワン(東京都西東京市)
  • 施工者─東武建設(東武グループ、栃木県日光市)
  • 設計・監理─ユニゾン建築設計事務所(東京・渋谷=当時)
  • 着工─2006年7月
  • 竣工─2008年2月
  • 解体工事開始─2008年7月
  • 解体工事終了─2008年12月

 問題の分譲マンションは、長野県佐久市に建設された「サンクレイドル佐久平」である。時間順に個条書きで記述する。

【問題公表までの経緯】

  • 下請けの設備工事会社が、コンクリートを打設する前に、スリーブをつくるためのスリーブ管を、梁の鉄筋に取り付ける段取りなっていた。しかし、実際には、スリーブ(貫通孔)の一部を開け忘れたほか、その位置が不適切なものも混じっていた。
  • コンクリートが固まった後、ミスに気づいた設備工事会社が東武建設の現場所長に、「工事の不具合を訂正するため、コンクリートをコア抜きしてスリーブを新設したい」と報告。現場所長はこれを了承した。
  • コア抜きした個所は、新しいスリーブが26個所、付け直したスリーブが55個所に達した。そのとき間違って鉄筋の一部を切断していたが、何の補強策も施さないまま、コンクリートを埋め戻して2008年2月8日に竣工させた。
  • しかし、竣工直前の2月5日、匿名者がこの件を、電子メールで長野県に通報していた。
  • 事態を重視した長野県は、アーネストワンに対して、販売の中止、購入者への状況説明、施工状況の詳細な検査などを要請した。
  • 長野県議会土木住宅委員会の2月定例会で建築管理課長は、「新しいスリーブが26個所、付け直したスリーブが55個所、計81個所であることは確認したが、主筋を切断したかどうかはまだ分からない」と説明。さらに、「民間の確認検査機関から、建築確認の書類を取り寄せて調べると、設計図には必要な箇所に必要なスリーブが入っていた。よって、設計図の通りに施工できなかったのではないかと推測している」とした。
  • その後の調べで、コア抜きしたスリーブの直径は10~26cm、開けた場所は地上1~6階の梁が中心、切断した鉄筋は主に直径1.3cmのあばら筋であることが分かった。しかし、それ以上の詳細な情報は不明だった。(後日、主筋4個所、あばら筋50個所が切断されている事実が判明した)。
  • 長野県は以上の事実を3月7日に公表した。