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 全国1724件の医療施設で、防火設備に関する建築基準法違反があることが分かった。さらに無届けによる増改築があった施設も541件あることが判明した。2013年10月から14年1月にかけて全国の特定行政庁が実施した緊急点検の結果を、国土交通省が2月5日に明らかにした。

 防火設備に違反のあった1724件のうち、半数以上に当たる910件が防火設備の閉鎖または作動の状況に違反があり、防火設備が作動しない状況にあった。次いで、区画に対応した防火設備の設置が430件、常時閉鎖の防火戸の固定状況が408件と続く。

防火設備に関する建築基準法違反の状況
(資料:国土交通省の資料をもとに日経アーキテクチュアが作成)
防火設備に関する違反の内容件数
防火設備の閉鎖または作動状況910件
区画に対応した防火設備の設置状況430件
常時閉鎖の防火戸の固定状況408件
閉鎖または作動の障害となる物品の放置の有無362件
本体と枠の劣化および損傷状況227件
防火設備の閉鎖作動時の危害防止機構などの設置または作動状況172件
煙または熱感知器の設置状況152件
防火設備におけるくぐり戸の設置状況69件
防火戸の開放方向43件

 無届けで増改築を行った541件のうち、389件は建築基準法令に違反していた。具体的には、防火区画関係が228件、耐火建築物関係が197件、非常用照明装置関係が88件などだ。

無届けで行った増改築のうち、建築基準法違反の状況
(資料:国土交通省の資料をもとに日経アーキテクチュアが作成)
無届けによる増改築があったもののうち、建築基準法令に関する違反の内容件数
防火区画228件(うち221件は防火設備関係)
耐火建築物197件
非常用照明装置88件
排煙設備44件
廊下の幅員28件
避難上の出入り口の施錠装置16件
敷地内通路11件
間仕切り壁10件
直通階段8件
内装制限1件
非常用進入口1件
その他(構造耐力、容積率、建蔽率など)39件

 緊急点検は13年10月に福岡市の整形外科で発生した火災を受けたもの。患者の収容施設がある病院と診療所のうち、地下または3階以上の階を病院もしくは診療所として利用している建物か、平屋建てを除き、床面積が300m2以上のものが対象だ。その数は全国で1万6087件。

 福岡市で火災のあった建物は、建築確認の届け出をせずに増築され、煙感知方式に改修すべき防火戸が温度ヒューズ式のままとなっていたことなどが分かっている。加えて、防火戸が作動しなかったことが被害の拡大につながったとみられ、国交省は緊急点検の実施を特定行政庁に要請していた。違反を確認したものについては、特定行政庁を通じて是正指導を行うとともに、定期的なフォローアップ調査を実施する。

 国交省は今通常国会に提出する建築基準法の改正案で、定期調査・検査報告制度の見直しを盛り込む考え。不特定多数の者や高齢者などが利用する建築物について、法令によって一律に定期調査・検査の対象とすることを検討している。防火設備について、専門的な知識と技能を有する者に検査させる仕組みの導入も検討している。