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 最大間口7m、奥行き19mの、うなぎの寝床状の敷地に建つ「辻堂の曲がり屋」。その名の通り細長く折れ曲がる建物で、内部も動線が上下左右に折れ曲がる、距離感のある空間だ。

リビングからダイニング、キッチンを見通す(写真:吉田 誠)
リビングからダイニング、キッチンを見通す(写真:吉田 誠)

キッチンからダイニング、リビングを見通す(写真:吉田 誠)
キッチンからダイニング、リビングを見通す(写真:吉田 誠)

 細長い建物の外周を2階天井までの高さの壁で囲んでいるため、1階はどうしても暗がりになる。acaa(神奈川県茅ケ崎市)の岸本和彦代表は、その暗さを生かし、仕上げ材を使い分けて上下階の明るさや質感を調節した。

 建て主夫妻の要望は、趣味で集めている古美術品のつぼや李朝家具が似合う家。「どっしりと重量感のあるつぼは、その比重に合った空間に、低い重心で置かれるべきだと思う」と岸本代表は語る。1階から中2階までを、つぼが置ける場所にしようと考えた。

キッチンからみた北の間。つぼを飾ってある(写真:吉田 誠)
キッチンからみた北の間。つぼを飾ってある(写真:吉田 誠)

 1階玄関ホールから中2階までは、外部と同じ敷瓦タイルを床に張っている。瓦メーカーがつくるエクステリア用タイルで、つぼの質感に近い素材だ。壁材にも質量を感じさせる珪藻土を選んだ。

 中2階から2階に行く階段で、床材がウオールナットフローリングに切り替わる。2階LDKは壁もスギ板で、木が主体の内装だ。ただし、東西両側に大きな開口があるので、光を吸収するように黒っぽく塗装した。その一方で、開口の高さより上はエマルションペイントで白く仕上げ、明るさを強調している。

畳の間と書斎。正面の階段の先はキッチン、ダイニング、リビング(写真:吉田誠)
畳の間と書斎。正面の階段の先はキッチン、ダイニング、リビング(写真:吉田誠)

 内装と同様、中庭を囲む外壁の仕上げも2層になっており、1階の高さはワラを入れたモルタルの木ごて押さえ、2階の高さは黒く塗装したレッドシダーだ。「庭が小さいので、壁全体を一種類の素材で仕上げると、井戸の底にいるような印象になってしまう」と岸本代表。

 「1階はあえて光を絞り込み、しっとりと暗い空間に。重厚な材料を使い、でも壁の色は白くして明るさを補う。一方、2階は明るく乾いた空間。材料も軽く、しかし色は黒くして光を抑えた」と岸本代表は解説する。質感と色が相反する、二重の対比になっている。