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断熱性能を高めた住宅が増える一方で、ちょっとした設計施工のミスや暮らし方の不注意による結露トラブルが増えつつある。結露トラブルの相談や調査に応じる住まい環境プランニング(岩手県滝沢市)に、トラブル事例と設計施工上の注意点を、日経ホームビルダーの連載「断熱ミスが結露を招く」で解説してもらう。第2回のテーマは断熱性能を高めたサッシでの結露だ。

 「アルゴンガス入り複層ガラスの木製サッシが結露した」「樹脂サッシなのに水滴がたまっている」──。

 冬になると住まい環境プランニングの元に、住宅会社や住まい手から断熱サッシに関するこうした問い合わせがしばしば寄せられる。

 事例1~3は、東北地方の住宅で断熱サッシが冬に結露している様子だ。窓の枠は事例1が木製、事例2が樹脂製、事例3がアルミ樹脂複合製で、3つとも複層ガラスだ。3つに共通するのは、サッシ下端の框とぶつかる辺りのガラス部に結露が発生していることだ。なぜここが結露するのだろうか?

 事例1の木製サッシが結露しているタイミングで露点温度を表示する温湿度計で測ったところ、外気がマイナス5.7℃、室温が18.8℃、室内の相対湿度が41.1%、室内の露点温度が5.3℃となっていた。

 次に放射温度計で室内側の窓の表面温度を測ると、ガラスの中央部と枠は露点温度より高い11.1℃と12℃、ガラス下端は5℃と露点温度を下回った。

【事例1】上の写真は岩手県滝沢市に建つ木造住宅で1月に撮影した、木製サッシの下端が結露したときの様子。枠やガラスの中央には結露はない。サッシはデンマーク製で、厚さ4mmのアルゴンガス入り複層ガラスを使用している。下はサッシ下端のアルミスペーサー付近の温度を計っているところ。露点温度より低い5℃だった(写真:住まい環境プランニング)
【事例1】上の写真は岩手県滝沢市に建つ木造住宅で1月に撮影した、木製サッシの下端が結露したときの様子。枠やガラスの中央には結露はない。サッシはデンマーク製で、厚さ4mmのアルゴンガス入り複層ガラスを使用している。下はサッシ下端のアルミスペーサー付近の温度を計っているところ。露点温度より低い5℃だった(写真:住まい環境プランニング)

サッシが結露していた部屋の様子。結露が発生したときの温湿度を写真に記した(写真:住まい環境プランニング)
サッシが結露していた部屋の様子。結露が発生したときの温湿度を写真に記した(写真:住まい環境プランニング)

【事例2】Low-E複層ガラス入りの樹脂サッシが結露している様子。ガラスの下端から5mmの範囲に結露が発生している。スペーサーはアルミ。このときの外気温はマイナス6.1℃、室内は22℃、相対湿度40%、露点温度は8℃。岩手県滝沢市に建つ木造住宅で冬に撮影(写真:住まい環境プランニング)
【事例2】Low-E複層ガラス入りの樹脂サッシが結露している様子。ガラスの下端から5mmの範囲に結露が発生している。スペーサーはアルミ。このときの外気温はマイナス6.1℃、室内は22℃、相対湿度40%、露点温度は8℃。岩手県滝沢市に建つ木造住宅で冬に撮影(写真:住まい環境プランニング)

【事例3】Low-E複層ガラス入りアルミ樹脂複合サッシが結露している様子。ガラスの下端だけでなく框にも結露が生じている。このときの室温は20.9℃、相対湿度は45.9%、露点温度は8.7℃、戸車付近の表面温度は5.2℃。岩手県滝沢市に建つ木造住宅で冬に撮影(写真:住まい環境プランニング)
【事例3】Low-E複層ガラス入りアルミ樹脂複合サッシが結露している様子。ガラスの下端だけでなく框にも結露が生じている。このときの室温は20.9℃、相対湿度は45.9%、露点温度は8.7℃、戸車付近の表面温度は5.2℃。岩手県滝沢市に建つ木造住宅で冬に撮影(写真:住まい環境プランニング)

 ガラス下端の表面温度が低い理由の1つは、ガラスの端をぐるりと囲んでいるスペーサー(複層ガラスの中空層を形成する部材)がアルミで作られていること。アルミは熱伝導率が高いので、ヒートブリッジとなり外の冷たい温度を伝えやすい。

 国産の断熱サッシは樹脂や木の枠に複層ガラスを使うなど、枠とガラスの断熱性能を高めているが、スペーサーはアルミが多数を占めている。

 さらに、サッシ付近の室内空気がガラスからの熱損失で冷やされ、冷たい下降気流が生じていること。コールドドラフトと呼ばれる現象だ。これによってガラス下端の温度が低くなっている。一般的にコールドドラフトは上部と下部に約3℃の温度差をつくると言われる。