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  • (2)高雄の事例……クリエイター主導の都市再生とクリエイティブツーリズムの成功

尹立(アーロン・イン)氏(写真:渡邊浩行)
尹立(アーロン・イン)氏(写真:渡邊浩行)

 台湾の建築家、プロデューサーである尹立(アーロン・イン)氏は、自身がたった独りで一軒の小さなギャラリースペースを立ち上げたことを発端に、いまや台湾を代表する一大クリエイティブエリアへと成長した台湾、高雄市の事例を紹介した。

 台湾の主要都市といえば、首都である台北市を思い浮かべる人が多いだろう。台南の中心都市である高雄市は、もとは台湾屈指の工業都市であり、一時期は世界第3位の規模を誇る港湾都市でもあった。しかし、近年その地位は下落し、凋落の一途をたどっている。衰退の結果、地域の若者たちは首都台北へと向かい、街の将来を担う人材の流出は深刻な問題となっていた。クリエイティブの視点からも、「文化の砂漠」と呼ばれるほどひどい状態だったのである。

 そんなさなかの10年ほど前、アーロン氏は港湾地帯の一角にある使われていない倉庫を改装し、広さ20畳ほどのギャラリーを立ち上げた。ギャラリー設立の目的は、アート作品の展示ではなく、高雄で生まれ育った若きクリエイターたちが集まり、新しいものを創造するための拠点をつくることだった。

 ギャラリーには、少しずつではあるが、クリエイターの卵や賛同者、協力者たちが集まり始め、徐々に規模を拡大していった。そして、ここで育まれた若きクリエイターたちのネットワークは広がりを見せ、行政や企業をも巻き込み、いまや長さ4kmにおよぶ一大クリエイティブエリアへと成長。国内は言うにおよばず、海外からの観光客も訪れるような台湾を代表する観光地へと変貌を遂げたのだ。

高尾市港湾部の倉庫街を紹介中。アーロン氏が最初にギャラリーを設けたことがほかのアーティストに広がり、市が台湾製糖から倉庫を買い上げるなどの協力を行って長さ4kmのアートゾーンができた。まず美術館やアートギャラリーが集積し、その周辺に集まったデザイナーたちがビジネスマインドを生かして自分たちがつくったものを販売するショップを開業していった(写真:渡邊浩行)
高尾市港湾部の倉庫街を紹介中。アーロン氏が最初にギャラリーを設けたことがほかのアーティストに広がり、市が台湾製糖から倉庫を買い上げるなどの協力を行って長さ4kmのアートゾーンができた。まず美術館やアートギャラリーが集積し、その周辺に集まったデザイナーたちがビジネスマインドを生かして自分たちがつくったものを販売するショップを開業していった(写真:渡邊浩行)

高雄市港湾部の新興エリアは、市からの相談を受けたクリエイターたちが自身の手で育ててきた。「自分たちの思いをぶつけることで活動の場が得られる街になっている。そこでいい循環が生まれ、都市としても成長している」(岡田氏)。「アーロンさんのようなプロデューサーの手によって『高雄に行けば日常的にアート体験が得られる』『高雄に行けばおしゃれなものが手に入る』といったことを、ジワジワと台湾中に知らしめることに成功した」(太刀川氏)(写真:岡田智博)
高雄市港湾部の新興エリアは、市からの相談を受けたクリエイターたちが自身の手で育ててきた。「自分たちの思いをぶつけることで活動の場が得られる街になっている。そこでいい循環が生まれ、都市としても成長している」(岡田氏)。「アーロンさんのようなプロデューサーの手によって『高雄に行けば日常的にアート体験が得られる』『高雄に行けばおしゃれなものが手に入る』といったことを、ジワジワと台湾中に知らしめることに成功した」(太刀川氏)(写真:岡田智博)
高雄市港湾部の新興エリアは、市からの相談を受けたクリエイターたちが自身の手で育ててきた。「自分たちの思いをぶつけることで活動の場が得られる街になっている。そこでいい循環が生まれ、都市としても成長している」(岡田氏)。「アーロンさんのようなプロデューサーの手によって『高雄に行けば日常的にアート体験が得られる』『高雄に行けばおしゃれなものが手に入る』といったことを、ジワジワと台湾中に知らしめることに成功した」(太刀川氏)(写真:岡田智博)

 イン氏の取り組みは続いており、現在は高雄市周辺の美大、アート系専門学校などと連携することで、創造都市としての高雄を下支えする人材の育成に貢献している。