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  • (4)いかにパブリックを巻き込んでいくか

 創造都市づくりを行う当事者は、行政や一部のクリエイターたちだけではない。住民自身が街づくりに参加することが成功のカギだ。このことは、個々の言葉や表現を変えながらもグローバルゲスト全員が議論の中で指摘した点だ。なぜなら、創造都市の主役はそこで生活を営む住民自身であり、彼らに認められて共に取り組まなければ、旗振り役のクリエイターがいかに有能であっても成功が期待できないからだ。このことは、アジアの事例からも明らかだ。いかにパブリックを巻き込むかは、創造都市づくりを成功させるうえでの重要な要素になる。

 「創造都市づくりは、ともすると、アーティストだけとかデザイナーだけというように、マニアックなものになる。デザインをはじめとするクリエイティブが横浜での生活をもっと豊かにするために何ができるか、という問いに対して、デザインがデザイナーのコミュニティで閉じていては広がりがない。だから、クリエイター側の『パブリックと繋がりたい、普通6の人に届けたい』という姿勢は創造都市をつくっていく際にとても大切になる。そのためにも、専門的な視点に偏らず、普通の人が関わりを持つ入り口をどうやってつくるかが重要になる」(太刀川氏)

  • (5)自らつくり出すという意志の重要性

 シンガポール、台湾、中国、タイ。4人のグローバルゲストが活動の場としているアジアの国々には共通点がある。1つは若いということで、特にシンガポールは建国からまだ50年経っていない。台湾、タイとも、第二次大戦後に独立を果たした。中国も、著しい発展を遂げたのはこの20年ほどのことだ。

 もう1つの共通点は、それぞれが自らの力で、様々な権利を獲得してきたことである。植民地からの独立、政権の獲得、経済力。そして、その中にはカルチャーも含まれる。この「自ら獲得する」という姿勢は、彼らの創造都市づくりにも表れている。

 「ゲストの皆さんはしきりに、押し付けられるのではなく『自分たちでやるんだ』ということを言っていた。クリエイトというのは、つまりつくることであり、何かを始めることだ。強制されるものではない。今回のゲストは、そういう感覚に立脚してプロジェクトそのものを大きくしてきた人たちなので説得力がある。そうした意志を持てば、横浜でもインターナショナルに注目されるプロジェクトが始まる可能性は十分にある」(太刀川氏)