PR

高断熱住宅が増える一方で、設計・施工のミスによる結露トラブルが増えつつある。トラブルの相談や調査に応じる住まい環境プランニング(岩手県滝沢市)に、不具合事例を基に設計・施工上の注意点を解説してもらう。今回は付加断熱工法で発生する結露リスクについて学ぶ。

 プラスチック系断熱材の外張り工法と繊維系断熱材の充填工法を組み合わせる付加断熱は、繊維系断熱材の室内側に防湿シートの施工が必要だ。ところが、プラスチック系断熱材の外張り工法は防湿シートを張らないケースが多いため、その内側に繊維系断熱材を付加した場合でも防湿シートを張り忘れたり、欠損に気付かなかったりすることがある。このことが、結露を招く原因になる。

 住宅の省エネルギー基準の解説に記されているこのタイプの付加断熱の仕様例を、防湿シートがない条件にして、冬型の内部結露の有無を調べたのが以下の資料だ。省エネ基準で防露性能を確認する方法として記されている定常計算で求めた。防湿シートに欠損がある場合の結露リスクを、危険側で判定することになる。

住宅の省エネルギー基準の解説に記されている付加断熱の仕様例(資料:住宅の省エネルギー基準の解説を基に日経ホームビルダーが作成)
住宅の省エネルギー基準の解説に記されている付加断熱の仕様例(資料:住宅の省エネルギー基準の解説を基に日経ホームビルダーが作成)

 定常計算の結果は、7(旧V)地域では結露しなかったが、5、6(旧IV)地域以北は全て結露した。この例のように、温暖地の定常計算で結露しなくても、寒冷地の計算で結露する場合があるので、地域ごとの確認が不可欠だ。

住宅の省エネルギー基準の解説に記されている付加断熱の仕様例を、防湿シートがない条件で定常計算した結果。防湿シートに欠損がある場合の冬型結露のリスクを、危険側で判断する方法だ。7(旧V)地域では結露しなかったが、5、6(旧IV)地域以北は全て結露した。この例のように、温暖地の定常計算で結露しなくても、寒冷地の計算で結露する場合があるので、地域ごとの確認が不可欠だ(資料:住まい環境プランニング)
住宅の省エネルギー基準の解説に記されている付加断熱の仕様例を、防湿シートがない条件で定常計算した結果。防湿シートに欠損がある場合の冬型結露のリスクを、危険側で判断する方法だ。7(旧V)地域では結露しなかったが、5、6(旧IV)地域以北は全て結露した。この例のように、温暖地の定常計算で結露しなくても、寒冷地の計算で結露する場合があるので、地域ごとの確認が不可欠だ(資料:住まい環境プランニング)

付加断熱の仕様を4(旧III)地域で定常計算した内部結露の分布図。壁体内の水蒸気圧(点線)が同部分の飽和水蒸気圧(実線)を上回った箇所で、内部結露が発生する(資料:住まい環境プランニング)
付加断熱の仕様を4(旧III)地域で定常計算した内部結露の分布図。壁体内の水蒸気圧(点線)が同部分の飽和水蒸気圧(実線)を上回った箇所で、内部結露が発生する(資料:住まい環境プランニング)

 下の表は、厚さ120mmのグラスウール充填工法に、5タイプの付加断熱をそれぞれ組み合わせた壁断面を、防湿シートがない条件で定常計算した結果だ。ここでは耐力面材を火山性ガラス質複層板にした。

 注目したいのは、付加断熱にXPS(押出法ポリスチレンフォーム)を使った(1)(2)の方がグラスウールを使った(4)(5)より断熱性能が高い(熱貫流率が低い)にもかかわらず結露しやすい結果となったことだ。

その他の付加断熱の仕様を防湿シートがない条件で定常計算した結果(資料:住まい環境プランニングへの取材を基に日経ホームビルダーが作成)
その他の付加断熱の仕様を防湿シートがない条件で定常計算した結果(資料:住まい環境プランニングへの取材を基に日経ホームビルダーが作成)

 冬型結露の防止策は、透湿抵抗を室内側から室外側に向かって徐々に下げるのが基本だ。XPSはグラスウールより透湿抵抗が高いので基本に反する。基本にのっとり、外側を透湿抵抗の低い断熱材にするか、防湿シートの先張りで欠損を徹底的になくすことを提案する。

グラスウールは胴縁が熱橋に

 グラスウールを付加断熱にした三つの層構成にも一長一短がある。

 下の表の(3)は断熱性能が最も高く結露リスクも小さいが、張り出し寸法が大きいので基礎の立ち上がりの芯と躯体の芯をそろえるなどして付加断熱を支える必要がある。

 グラスウールボードを外側と内側の両方に付加する(4)は、張り出し寸法が抑えられてほどほどの断熱性能を確保できる一方、部屋が狭くなる。

主な付加断熱の結露リスク、施工性、コストの比較(資料:住まい環境プランニングへの取材を基に日経ホームビルダーが作成)
主な付加断熱の結露リスク、施工性、コストの比較(資料:住まい環境プランニングへの取材を基に日経ホームビルダーが作成)

 グラスウールのように胴縁を使って付加断熱材を施工する場合は、胴縁の仕様にも気を使う必要がある。胴縁と柱が重なる箇所は熱橋になり、断熱性能が低下するからだ。縦胴縁よりも横胴縁やはしご胴縁の方が柱との重なりが少なくなるのでお勧めだ。

付加断熱材の胴縁は熱橋となるため、外壁の断熱性能は熱橋の面積分だけ低下することになる。熱橋面積は柱と重なる部分なので、縦胴縁より横胴縁の方が小さくなり、断熱性能の計算でも有利に働く。縦胴縁でも細い角材で組むはしご胴縁にすれば、さらに熱橋面積を減らすことが可能だ(資料:住まい環境プランニングへの取材を基に日経ホームビルダーが作成)
付加断熱材の胴縁は熱橋となるため、外壁の断熱性能は熱橋の面積分だけ低下することになる。熱橋面積は柱と重なる部分なので、縦胴縁より横胴縁の方が小さくなり、断熱性能の計算でも有利に働く。縦胴縁でも細い角材で組むはしご胴縁にすれば、さらに熱橋面積を減らすことが可能だ(資料:住まい環境プランニングへの取材を基に日経ホームビルダーが作成)

縦胴縁で付加断熱材を施工している住宅を赤外線カメラで撮影した画像。縦胴縁の線がはっきり現れ、熱が逃げていることが分かる(写真:住まい環境プランニング)
縦胴縁で付加断熱材を施工している住宅を赤外線カメラで撮影した画像。縦胴縁の線がはっきり現れ、熱が逃げていることが分かる(写真:住まい環境プランニング)