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“架け橋”の希望を受けて中2階にブリッジ

 また野田社長は、メーンロビーをエントランスロビーから数段低くすることで、メーンロビーをエントランスから区切ることも提案した。ホテルオークラ東京営業企画部広報課の荒井郁子氏によれば、「ロビーは落ち着く場所とすべきで、商売をしてはいけないという考えもあったと聞いている」と話す。メーンロビーの隣に、谷口が設計したメーンダイニング「オーキッドルーム」があるが、ロビー内に飲食スペースをつくらなかったのは、静けさを守るためだったのかもしれない。

メーンロビー。上から見ると梅の形となるように配置されているソファ(写真:吉田 誠)
メーンロビー。上から見ると梅の形となるように配置されているソファ(写真:吉田 誠)

メーンダイニングはロビーと同様に、麻の葉紋をモチーフとした木組み格子の欄間が窓を飾る(写真:吉田 誠)
メーンダイニングはロビーと同様に、麻の葉紋をモチーフとした木組み格子の欄間が窓を飾る(写真:吉田 誠)

ロビーの隣に設けられたメーンダイニング「オーキッドルーム」。ビジネスマンが昼食を取りながら会議をする姿も珍しくないという(写真:吉田 誠)
ロビーの隣に設けられたメーンダイニング「オーキッドルーム」。ビジネスマンが昼食を取りながら会議をする姿も珍しくないという(写真:吉田 誠)

 時間をかけて大倉会長の希望をそしゃくしていった谷口。ただ、大倉会長と野田社長がロビーの天井を高くして、真ん中に“夢の架け橋”をかけたいと希望したことに対しては、さすがの谷口も困惑したようだ。「大倉さんは、朱塗りの欄干の付いた太鼓橋をロビーに架けたかった」と小坂が後のインタビューで話している。谷口は「その精神だけを採り入れましょう」という姿勢で、メザニン(中2階のこと。本館でいうと6階)を設け、一部をブリッジ状にした。メザニンにはロビーと同様にソファと漆塗りのテーブルを置き、ロビーを見渡せる贅沢な空間が生まれた。

ロビーにまたがるメザニン。会長と社長の「架け橋をかけたい」という無謀にも思える注文に谷口は応え、メザニンを設けた。ロビーと同様に漆塗りのテーブルと梅の花びらのようなソファを置いた(写真:吉田 誠)
ロビーにまたがるメザニン。会長と社長の「架け橋をかけたい」という無謀にも思える注文に谷口は応え、メザニンを設けた。ロビーと同様に漆塗りのテーブルと梅の花びらのようなソファを置いた(写真:吉田 誠)

メザニンは一部がブリッジ状になっている。写真でいうと、メザニンの右手がエントランスロビー、左手がメーンロビー。奥は中国料理店「桃花林」の入り口に続く(写真:吉田 誠)
メザニンは一部がブリッジ状になっている。写真でいうと、メザニンの右手がエントランスロビー、左手がメーンロビー。奥は中国料理店「桃花林」の入り口に続く(写真:吉田 誠)

メザニンに上る階段。完成当初は、メザニンの手すりも階段と同じものだったが、現在はガラスに改修された(写真:日経アーキテクチュア)
メザニンに上る階段。完成当初は、メザニンの手すりも階段と同じものだったが、現在はガラスに改修された(写真:日経アーキテクチュア)

後編に続く

<訂正>4ページ目、メーンロビーの写真キャプションおよびメザニンに上る階段の写真キャプションの一部に事実と異なる記述があり、削除しました。(2015年3月13日18時10分)