発覚から公表まで1年以上
東洋ゴム工業は3月13日の発表資料で、判明するに至った経緯を以下のように述べている。
- 2014年2月、当社の子会社である東洋ゴム化工品株式会社において、担当者の変更を契機として、高減衰ゴムが大臣認定の性能評価基準に適合していないとの疑い(以下「本件疑い」といいます。)が認識されました。
- その後、東洋ゴム化工品株式会社から報告を受けた当社は、本件疑いの内容、可能性の程度、当該製品の免震性能評価等の検証を開始しました。
- その結果、本件疑いの可能性が高いと判断し、2015年2月9日、この事実を国土交通省に対し自主的に一報を行いました。
- その後、2015年3月12日に本件疑いの可能性が極めて高いと認識いたしましたので、その旨を直ちに国土交通省に対し自主的に報告いたしました。
- 現在、事態を招いた背景に関して、詳細な調査を継続しているところですが、当社従業員が高減衰ゴムの性能評価を技術的根拠なく変更していたことに起因する可能性が高いものと考えています。
東洋ゴム工業において、高減衰ゴムが大臣認定の性能評価基準に適合していないとの「疑い」が認識されたのが2014年2月、国交省に「疑い」の可能性が高いことを初めて報告したのが2015年2月9日、そして「疑い」の可能性が極めて高くなったことを報告したのが同3月12日、国交省および東洋ゴム工業の発表は同3月13日。発覚から公表まで、実に1年以上掛かっている。
東洋ゴム工業は2月12日に2014年度通期決算発表を行った。2014年12月期(2014年度)通期の決算説明資料を見ると、「売上高・営業利益・ 経常利益・当期純利益において『過去最高』を達成。営業利益率12.1%、自己資本比率37%台に到達」との文字が踊っているだけだ。大臣認定の不適合および不正取得に関する事項は、「疑い」の状況とはいえ国交省に報告済みで既知だったはずなのに、一言も触れられていない。
3月27日、東洋ゴム工業は第99回定時株主総会を開催する。今回の事件を受けて紛糾するのは間違いないだろう。