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 劣化や損傷を早く見つけ出して早く対策を施す予防保全が、国土交通省や自治体の管理する橋で本格的に動き出している。ねらいは、橋の長寿命化と、修繕費の削減や支出の平準化を図ることだ。

 国交省は2007年度に道路橋の「長寿命化修繕計画策定事業費補助制度」を創設。同省の有識者会議は2008年5月16日、道路橋の予防保全を実現するために、点検の制度化や技術開発の推進などの五つの方策を提言した。

 提言の一つに、すべての道路橋で点検を実施する「点検の制度化」がある。同会議の資料によると、市町村の約9割が未点検の状況だ。橋の長寿命化修繕計画を作成して安全性を確保するために、早期点検の推進が求められている。

 ショーボンド建設の樋野勝巳技術部長は、「1橋当たりの点検項目を減らしてでも、まずは数多くの橋を見て回り、状況を把握することが大事だ。詳細な点検でなくとも、数をこなせば危険な部位が見えてくる。コンクリートのひび割れやはく落、鉄筋のさび汁といった現象を確認したら、その時点で専門家に診断してもらえばいい」と話す。簡易で安価な点検・調査手法のニーズは高く、技術開発が進んでいる。

 土木研究所が2008年4月に設置した構造物メンテナンス研究センターは、橋の点検をはじめ維持管理の課題に悩んでいる自治体が、技術支援などで期待を寄せる組織だ。同センター橋梁構造研究グループの吉岡淳グループ長は、「現場の支援、研究開発、情報交流の場という三つの役割を果たして、自治体などが抱える技術的課題の解決に貢献していきたい」と抱負を語る。

 点検の基本である目視は、構造物に内在する劣化などを把握できないという限界がある。したがって、劣化の原因や範囲を特定して劣化を予測するには、詳細な調査を必要とすることが多い。

 吉岡グループ長は、「詳細な調査の主流は非破壊検査に向かっている。検査方法を選定するときは、劣化の症状を適切に診断したうえで、適用性やコスト、工期などを検討する。場合によって複数の方法を組み合わせる必要がある」と話している。

 阪神大震災などを契機に開発が進んだ耐震補強技術は、現在も部位や部材ごとに技術開発が続いている。

 橋脚の補強工法では、使用する材料や施工方法にさまざまな創意工夫がなされている。巻き立て工法や接着工法などの材料は、鋼板やアラミド繊維、炭素繊維、ビニロン繊維、ポリマーセメントモルタルなどと多彩だ。施工を容易にするために、鋼板を分割したり圧入したりする工法や、繊維系材料をシート状やロープ状、板状に加工して使う工法がある。

 橋の老朽化に伴う補修・補強市場の活性化に呼応するように、多種多様な調査技術や施工方法、使用材料などが開発されている。アセットマネジメントを支援するシステムについても、自治体の長寿命化修繕計画策定の増加に伴って、それぞれ特徴あるものが開発されている。