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 補修や補強はもうからない──。そんな“常識”を覆す建設会社がある。「構造物の総合メンテナンス企業」をうたうショーボンド建設だ。増収増益の理由を探った。




 補修・補強の市場には、これまで多くの建設会社が挑んだにもかかわらず、成功した事例は少ない。例えば、PC(プレストレスト・コンクリート)橋の施工を得意とする富士ピー・エスは2007年3月、補修や補強を専門に手がける子会社の富士メンテを解散した。「営業赤字が続き、メンテナンスの専門会社が単独で事業を継続するのは難しい」(富士ピー・エス)と判断したからだ。

 これに対し、ショーボンド建設が2007年11月に発表した2008年6月期の業績予想では、単体の売上高が前期比8.7%増の320億円、営業利益が同45.1%増の13億円。2004年6月期を底に、4期連続で増収増益を見込んでいる。


1400万円の差を技術提案で逆転

 ショーボンド建設が好調な理由の一端は、愛知県北部で2008年3月に完成した「第二出張所管内橋梁補強補修工事」に見ることができる。同工事は、国土交通省中部地方整備局が簡易型総合評価落札方式で発注。合計5橋の床版を補修したり、橋脚を耐震補強したりする。

 ショーボンド建設は2億500万円で応札した他社を上回る2億1900万円(税抜き)で落札した。1400万円の差を逆転できたのは、施工の品質向上策にかかわる技術提案や施工実績などの評価点が高かったからだ。

 「約50年間ずっと補修や補強だけに携わってきた経験がある」とショーボンド建設の手塚道夫常務執行役員は言う。総合評価落札方式の入札が増え、長年の経験が工事の受注に結び付きやすい環境が整ってきた。

 「ショーボンド建設の会社の規模と補修工事の発注規模がちょうど合っている」。補修分野に詳しい元大手建設会社の技術者はこう指摘する。ショーボンド建設が手がける工事金額は、平均すると1件当たり数千万円。地場の建設会社と入札で競い合う規模の工事だ。

 しかし、地場の会社には補修や補強の特殊なノウハウが少ない。一方、全国展開する大手の建設会社は技術力があっても、数千万円の工事は規模が小さく利益を出しにくい。両者のすき間にある工事を、ショーボンド建設がうまく受注している。

 小口工事でも特殊なノウハウが必要であれば、高い利益を確保できる。ショーボンド建設の2007年6月期の工事の粗利益率は17.4%だった。単純に比較できないが、5%前後の大手建設会社よりもはるかに高い。


粗利の2割は補修材料の販売

 小口工事を多くこなして利益を生むには、効率的な受注がカギとなる。

 「ショーボンド建設は選別受注を徹底している」と、ある中堅建設会社の営業課長はみる。「かつては、『補修と名のつく工事の入札にショーボンド建設あり』だったが、ここ数年は明らかに違う」というのだ。

 工種だけでなく発注者も選別しているとの見方もある。例えば、ショーボンド建設は2007年8月、首都高速道路の補修工事などを手がける子会社の昭和エンジニアリングを解散した。競争の激化で収益が見込めなくなったからだ。

 さらに、ショーボンド建設は補修用接着剤などの材料を持つ強みもある。材料の売上高は全体の売上高の1割ほどだが、粗利では全体の約2割を占める。材料は海外でも販売して、売り上げを伸ばしている。