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 市町村が発注する補修や補強の工事はまだ少ないが、新設工事が減るなか、地場の会社にとって今後、重要な市場になるのは間違いない。

 大石組(新潟県長岡市)の陽田修技術管理部担当課長には、苦い記憶がある。県内の小さな橋で数年前、補修工事が気づかないうちに始まっていた。施工していたのはショーボンド建設だった。「地元の橋は、地元の会社が継続して面倒を見た方がよい」と陽田課長は考えている。日々の変化に気づきやすいうえ、支承周りの清掃といった日常管理もできるからだ。

 地場の建設会社の多くは、技術開発を手がける部署を持っていない。工法研究会などに加盟して補修技術を習得しようとしている会社もあるが、特定の工法に偏りがちになる。

 そこで、陽田課長らは2006年12月、有限責任中間法人「新潟県コンクリートメンテナンス研究会」を立ち上げた。会長には長岡工業高等専門学校環境都市工学科の佐藤国雄教授が就任。大石組が事務局を務める。

 点検や調査、補修工法の選定などの技術を身に付けて、自治体の相談に応じられるようにするのが目標だ。2008年7月時点で、新潟県内の建設会社15社が加盟。材料メーカー2社も賛助会員として加わった。メーカーからは材料分野の助言を受けるほか、会員会社が将来、補修工事を受注すれば有力な材料調達先になる。

 研究会は2007年5月、独自の維持管理マニュアルを作成した。さらに2007年9月、新潟県糸魚川市の協力を得て、市が管理する能生川橋でマニュアルに基づいた点検実習やコンクリートのコア抜き調査などを実施。10月には長岡高専の協力を得て、同橋から採取した試料の圧縮強度試験や塩化物イオン含有量の測定などを実習した。

 2008年6月には、新潟県が管理する国道の橋を対象に点検を実習。PC(プレストレスト・コンクリート)桁の側面に幅0.4mm程度の斜めひび割れを発見して、県に報告した。

 いまのところ、研究会の活動が直接、点検業務や補修工事の受注にはつながっていない。それでも「地場の建設会社がメンテナンスの知識を習得するために活動していることを自治体にアピールできればよい」と陽田課長は前向きだ。将来は、会員会社と高専などの産学連携で、地域に合った維持管理の方法や補修工法などを共同で研究することも視野に入れている。