
土木のチカラ
目次
-
道路ができればもっと広い影響が出る(土木のチカラ2014)
「技術提案書の方向性は上司に決めてもらいたくない。まず私が考えたい」。こう言い放つ建設技術研究所東京本社道路・交通部主任の鈴村雅彦氏は、表情こそ柔らかいものの、口調は至って真剣だ。隣に座る同氏の上司で道路・交通部次長の野見山尚志氏は、「確かに彼に任せると非凡な内容になる」とうなずく。
-
アイデアは普段からストックしておく(土木のチカラ2014)
清水建設・岩田地崎建設JVが担当する中部横断自動車道八之尻トンネルの施工現場では、清水建設が初めてバイオディーゼル燃料(BDF)を使って建機を動かしている。トンネルから排出される土をダンプトラックに移す油圧ショベルに採用した。軽油を使う場合に比べて、現場でのCO2排出量を減らしている。
-
由比地すべり対策工事、未崩壊地で地震時の土砂崩れを防ぐ(土木のチカラ2014)
崖下に物流の大動脈が通る静岡市の由比地区で、地すべり対策が進む。近年、地すべりは発生していないものの、東海地震で崩落することも想定されたエリアだ。一帯に広がる果樹園で、大規模な深礎杭が施工されている。
-
首都高大橋連結路工事、並行するシールドを非開削で一本化(土木のチカラ2014)
並行する2本のシールドトンネルを延長180mにわたって、開削せずに切り開く世界初の工事が進む。道路トンネルの分岐合流部を構築している。NATM工法で地下空間を生み出し、鋼製セグメントでシールド同士を一体化する。
-
鶴田ダム再開発事業、堤体に日本一深くて長い管を増設(土木のチカラ2014)
運用中のコンクリートダムの本体を削孔して、洪水調節容量を1.3倍に増やす。削孔長は約60mに達し、その位置は洪水時最高水位よりも65m低い。国内で前例のない規模のダム改造だ。
-
新東名高速道路の技術革新を総まくり(土木のチカラ2013)
新東名高速道路の御殿場ジャンクション(JCT)から三ケ日JCT間が2012年4月14日に開通した。大断面トンネルや高橋脚の橋梁が多く、難条件を迫られたなか、工期短縮と工費削減のための技術を総動員した。
-
小田急小田原線複々線化、線路直下で初のシールド切り広げ(土木のチカラ2013)
駅直下に並ぶ2本のシールドトンネルを切り広げて、その間にホームを築く。道路下での施工例はあるが、鉄道直下では初のケース。道路では数センチメートルの沈下が許されるものの、この現場では8mmが限界値だ。
-
東京ゲートブリッジ、独創的な造形で人を魅了(土木のチカラ2013)
2012年2月12日、橋長2618mに及ぶ東京ゲートブリッジが供用を開始した。トラスと箱桁を一体化した構造を持たせた橋が生み出した新しい造形は、一般の人の関心を集めている。
-
赤谷地区河道閉塞緊急対策、二次災害防ぎつつ13万m3を掘削(土木のチカラ2013)
2011年夏に生じた大規模な河道閉塞によって、奈良県の山間部では20km下流まで土石流の危険性が高まった。越流や崩落の危険と隣り合わせのなか、5カ月間で約13万m3の土砂を掘削。仮排水路を設けた。
-
首都高中央環状品川線、最先端のトンネル技術が競演(土木のチカラ2012)
2013年度の開通を目指す首都高速中央環状品川線の工事が佳境を迎えつつある。8kmもの長さの大断面トンネルを1台のシールド機で掘り、シールドトンネルの非開削接合にも挑む。従来の殻を打ち破る技術が競演している。
-
九州・東北新幹線、従来技術を見直し現場の課題に対処(土木のチカラ2012)
2011年3月12日に、九州新幹線鹿児島ルートが全線開業した。2010年12月には東北新幹線の八戸─新青森間が開通しており、鹿児島から青森までが新幹線でつながった。工期が限られるなかで、現場に特有の課題に新技術・工法などで対処し、完成にこぎつけた。
-
保存・修復でよみがえった75年前の姿、筑後川昇開橋(土木のチカラ2012)
96年4月、旧国鉄の鉄道橋を遊歩道として再整備し開通した筑後川昇開橋。再塗装や橋脚のひび割れ補修を終えて、11年2月に再び通行できるようになった。塗装色の再現やリベット溶接の採用で、完成当時の姿に近づけた。
-
震災後4日で15の救援ルート確保した「くしの歯作戦」(土木のチカラ2012)
東日本大震災直後、「啓開」という耳慣れない言葉がよく使われた。これは、応急復旧に先立ち、緊急に救援ルートを確保すること。国土交通省は道路の啓開を「くしの歯作戦」と名付け、地震発生から4日間で15の救援ルートを確保した。
-
実現近付くリニア中央新幹線、実績生かし南アルプス貫通に挑む(土木のチカラ2011)
リニア中央新幹線の実現が近付いてきた。国交省の委員会は2010年10月20日、ルートごとの費用便益分析の結果を公表。JR東海が推す南アルプスルートに有利な結果が示された。
-
ハノイ・タインチ橋、工期を半減してリスクに備える(土木のチカラ2011)
「契約工期の半分の期間で工事を完成させる」。ベトナムに駐在する三井住友建設国際支店の田原一光土木作業所長は真剣だ。ベトナムでは行政当局による土地収用の遅れ、JVの構成員や下請けとなる現地企業の作業の遅れが頻繁にあり、「契約工期内に終わらせるのは大変なこと」(田原所長)だ。
-
人中心の道づくりから温泉街再生、あつみ温泉・かじか通り(土木のチカラ2011)
どこにでもある物静かな住宅街のような雰囲気の町並みが、がらりと変わった。狭い歩道は、車道との段差をなくしてフラットに。2車線だった道路は一方通行に変更し、余裕の生まれた両側に休憩施設を点在させた。車はそれらをよけるように、遠慮がちに通り抜ける。整備を終えた温海(あつみ)川右岸沿いの延長610mの市道…
-
現場で経験積む女性土木技術者(土木のチカラ2011)
「大林組は現場をやりたい人材を求めていると聞き、就職先に選んだ」。社会人5年目を迎えた大林組の永田礼子氏は、入社の動機をこのように話す。新人研修を終えてすぐに現場へ配属され、現在は首都高速道路中央環状品川線大井地区トンネル工事でPC(プレストレスト・コンクリート)橋の施工管理を担当している。