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スイスでも大土かぶりトンネルが貫通

 こうした課題に対して、08年10月に鉄道建設・運輸施設整備支援機構とJR東海が示した地質・地形調査報告書では、過去の施工実績と地質性状の知見から施工可能と判断した。高圧湧水のもとでの施工実績として挙げたのは、上越新幹線の大清水トンネルや東海北陸自動車道の飛騨トンネルだ。

 大清水トンネルでは、施工中の大量湧水にポンプ増設や水抜き坑、水抜きボーリングで対処した。蛇紋岩に遭遇した地帯では、迂回路を設置して掘進。山はね現象が発生した地域はロックボルト打ち込みや防護金網を設置して突破した。

 飛騨トンネルは、避難坑のTBMが不良地山による拘束や高圧大量湧水によって何度も停止。最終的にはNATM工法で迎え掘りして貫通した。本坑の掘進も難航したものの、先行した避難坑の施工実績をもとに何とか施工できた。

 活断層付近や大量湧水などの恐れがある地質は、工事やその後の維持管理が難しくなる。報告書は「避けるか、あるいは通過する延長を極力短くする必要がある」と指摘したうえで、施工可能と判断している。小委員会はそうした地質上の課題に対して、想定する既存の補助工法を具体的に示した。困難をこうした解決策で乗り切ってきたという一例だ。

 国内では既に延長20kmを超える長大トンネルや、1000mを超える土かぶりのトンネルの実績がある。海外に目を移すと、スイスで10月に貫通したゴッタルドベーストンネルは延長57km、土かぶり2300m。完成すれば世界最長のトンネルとなる。こうした事例もリニア中央新幹線実現の根拠になっている。

(日経コンストラクション2010年7月23日号の記事に加筆・修正しました。一部を除き、文章中の肩書や年齢、データは掲載時のものです)