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 ここ数年、大型化する台風やゲリラ豪雨などの影響で、土砂災害が頻発しています。土砂災害警戒区域は全国に27万カ所以上あり、全ての場所で対策を施すのは難しいのが実情です。

 しかし、最近発生した土砂災害を見てみると、実は土砂災害警戒区域のように「危険である」と認識されていた場所以外で起こったものが少なくありません。日経コンストラクション11月26日号の特集「土に潜む“落とし穴”」では、そうした災害の盲点とも言える事例を取り上げました。

 例えば、今年9月24日に発生した京浜急行電鉄の脱線事故。時間雨量100mmを超える豪雨で斜面上部から土砂が崩れ、特急列車が土砂に乗り上げたために起こった事故でした。

 事故が起きた神奈川県横須賀市内には急斜面が多く、過去にも土砂崩れが多発しています。この事故現場では、1998年に線路沿いの斜面にモルタルを吹き付け、防護金網で覆う対策も実施。外部の専門機関による健全度調査でも、緊急対策は不要と判断されていました。京急電鉄でも、この箇所が危険だという認識は無かったとのことです。

 また、新潟県上越市で今年3月に発生した大規模な地すべりも、新潟県が危険性を予測していなかった箇所で発生した災害でした。県は地すべりの恐れがある地域に対して、土砂災害警戒区域のほかに、地すべりのいわば「候補地」として「地すべり危険箇所」を指定していますが、それらには含まれていませんでした。危険箇所指定の際は、地域の住民に地すべりの記憶があるかどうかを重視しており、住民にそうした記憶が無く、地すべりの記録や言い伝えも残っていなかったといいます。

 一方で雪崩・地すべり研究センターは、航空写真からこの一体を地すべり地形だったと判読しています。防災科学技術研究所の地すべり地形分布図データベースでも、地すべり地形とされていました。記憶を優先した危険箇所の指定には限界があったと言えるでしょう。

 危険でないと思われていた場所での災害に、学ぶべきことは多いと思います。「なぜ危険性が低いと判断されていたのか」、「どんなメカニズムで災害が発生したのか」を追求していくことが、今後の危険度評価の適正化につながるのではないでしょうか。