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東京港の玄関にふさわしい独創性にこだわる

埼玉大学大学院 理工学研究科教授
窪田 陽一

 「東京港臨海道路橋梁景観等検討委員会」の委員として、東京ゲートブリッジの景観検討を始めたのが1992年度のこと。当初案はゲルバートラス橋だった。しかし、この形式が東京港の玄関にふさわしいのか疑問に思った。

 同じ形式の長大橋として、東京ゲートブリッジの中央支間長440mを上回る同510mの港大橋が、74年に大阪港で完成していたからだ。それより20年以上も経過した世に、似た形状の橋を送り出すことには抵抗があった。そこで、新しい造形を考えるべきではないかと委員会で訴え、デザインを練り直すことになった。

 中村委員長から、「ゲルバートラスが本来備える構造形式を素直に表現するため、中央径間をトラスではなく箱桁にしてはどうか」との助言があり、これをヒントに提案したのが「ゲルバー構造強調案」だ。この橋を目にした人々が力を感じる形にしたかった。当初案に近い連続性を強調した案や折衷案とともに検討を重ね、最終的に選ばれたこの案が、現在の形の元になっている。

 2002年度の事業再開後も、「技術検討委員会」の「景観検討分科会」委員長として、橋の景観設計に関わってきた。構造は見直されたが、形状は引き継がれた。最新技術が投入された橋は、よりすっきりしてスリムになった。

 世界各地にはそのまちの顔となる個性的な橋がある。東京ゲートブリッジも、ここにしかない独創的な橋となった。既に多くの人がこの橋を訪れ、楽しんでいる。本当にうれしく思う。(談)

(日経コンストラクション2012年3月12日号の記事をもとに構成しました。文中の肩書や年令、データは原則として掲載時のものです)