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 現場での経験を積むごとに、前田氏は「緊張感だけではだめだ」と思うようになった。例えば杭打ち工事では指示役や重機オペレーターなど、合計4人程度が1チームで作業する。現場で最も大切なのはチームワークとコミュニケーション。それらが円滑でないと、機械の転倒など重大事故を招きかねない。

人間の幸せとは笑顔でいられることだ
人間の幸せとは笑顔でいられることだ(写真:船戸 俊一)
(写真:船戸 俊一)

 「チームワークが機能して、一人ひとりの作業者が能力を最大限に発揮するためには、皆がある程度リラックスしている必要がある。今の自分にとって大事な仕事の一つは、そうした環境を整えることだと思っている」と前田氏は話す。

 重機を使った腕比べに社員一丸となって熱中することは、そうした環境づくりの一環とも言える。「幸せとは、笑顔でいられること」。それが前田氏の強い信念だ。

「楽しいことをやろう」

 工事現場で働く重機を見て「格好いい」、「操縦したい」と目を輝かせる子どもは少なくない。しかし成長するうちに、いつの間にか興味を失う。そして今、建設業界は深刻な人手不足に悩んでいる。「同業者には『変わったことをしてる』と思われているかもしれないが、この業界に対する一般の人のイメージが少しでも良くなってほしい。この業界が元気を取り戻すことにつながるはず」。前田氏は熱っぽく語る。

 前田氏の活動領域は今、社業の外にも広がっている。江別市のネットテレビ局では毎月2回、パーソナリティーを務めており、市内ではちょっとした有名人。そのほか、自社主催で地元にサーカス団を招いたり、地元商店街で毎年恒例の仮装大会で自ら人気映画のキャラクターにふんして審査委員を務めたりもしている。「楽しいことをやろう」という思いから始まった前田氏の挑戦は、まだまだ続きそうだ。