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 会計検査院は2012年度の決算検査報告をまとめ、2013年11月上旬、政府に提出した。同報告から土木分野に関する事案を選んで紹介する。

 第一弾は、沖縄気象台が発注した法面保護工事。同院は、モルタル吹き付け工事がずさんで設計と著しく相違しており、工事の目的を達していないと指摘した。平均吹き付け厚さが検査基準の規格値を満たしていなかっただけでなく、層間の剥離などの不具合も生じていた。一方、発注者は監督や検査など、発注者としての責務を果たしていなかった。

 同院が指摘したのは、沖縄気象台が、宮古島地方気象台の敷地内法面の落石防止などのために実施した土工事やモルタル吹き付け工事による法面保護工事。工事名は「宮古島地方気象台敷地東側法面保護工事」で、工事費は1813万3500円。

 会計検査院は実地検査で、モルタルを吹き付けた法面全体に多数の亀裂を確認。同院は、土木工事共通仕様書に基づく出来形検査で採取したコアで施工状況を調べようとしたが、沖縄気象台は規定のコア抜き検査を行っていなかった。

 同院が独自に法面の38カ所からコアを採取するなどして確認したところ、29カ所のコアの吹き付け厚さが、設計で指示された10cmを下回っていた。平均吹き付け厚さも全38カ所分のコアで8.3cmと、土木工事共通仕様書に定められた「設計厚さ以上」(このケースでは10cm以上)を満たしていないことも分かった。また同仕様書は、許容される最小吹き付け厚さ(許容値)について、「設計厚さの50%以上」と定めている。このケースでは5cm以上ということになるが、これも4カ所で下回っていて、1.5cmと著しく薄い箇所もあった。

 施工方法にも問題があった。設計では、モルタル吹き付けを2層以上に分けて行う場合は、層間に剥離が生じるのを防ぐため、1層目の吹き付け後に、はね返り材やごみ、土砂などを除去したり清掃したりすることを義務付けていた。ところが採取したコアのうち、8カ所のコアの層間にはね返り材などが残存。中には残存量が多く、コアが3層に分離してしまっているものもあった。

 会計検査院は、施工者の設計に対する理解不足によって、モルタル吹き付けが設計と著しく相違しており、法面保護の目的を達していないと指摘した。さらに、このような事態が生じたのは、発注者である沖縄気象台が監督や検査を適切に実施せず、施工者の粗雑工事を正すことができなかったためと断定。モルタル吹き付け工事に掛かった工事費1077万1000円は不当と結論付けた。