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 整備した水路兼用農道が周辺田畑の農作業を阻害――。こうした状況から2012年度決算検査報告で不当事項とされたのは、和歌山県が農林水産省経由の国庫補助で実施した事業だ。

 問題の事業は、同県が2010年度に田辺市日向地区で実施した中山間地域総合整備の一環。ほ場用の造成地に農道などを整備するために、支線道路工事や横断水路工事を行った。このうち会計検査院の指摘を受けたのは、総延長2164mを整備した支線道路(路線数は8本)の工事だ。

 これらの支線道路は、造成地内で排水路と農道双方の役割を果たすもの。幅員は3mで、コンクリート舗装の厚さは12cm、路盤厚さは15cm。幅員両端に、水路壁となる高さ15cmのコンクリート壁を設けた。

和歌山県が整備した水路兼用農道の断面イメージ(資料:会計検査院)
和歌山県が整備した水路兼用農道の断面イメージ(資料:会計検査院)

 会計検査院は実施検査で、県はこの水路兼用農道の設計に当たり、農林水産省農村振興局がまとめた「土地改良事業計画設計基準・設計『農道』」や、和歌山県の「土木工事共通仕様書」などをベースにしていたことを確認。同仕様書は、「造成地内に農道を整備する場合は、耕作に支障がないように、農道からほ場へ出入りするための進入路を設けなければならない」と指示していた。「進入路」とは、車両や農機が行き来しやすくするために、農道の途中で要所要所に設けるスロープ状の出入り口のことだ。

 ところが県は、この水路兼用農道に進入路を設けずに設計した。「水路壁の高さが15cmなので、水路壁を乗り越えれば、行き来は可能」と考えたからだ。この設計に従って工事が進められ、最終的に進入路がまったくない水路兼用農道ができあがった。