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崖下に物流の大動脈が通る静岡市の由比地区で、地すべり対策が進む。近年、地すべりは発生していないものの、東海地震で崩落することも想定されたエリアだ。一帯に広がる果樹園で、大規模な深礎杭が施工されている。

 駿河湾を見下ろす静岡市清水区由比地区の急傾斜地で、地すべり対策工事が進められている。旧東海道の難所の一つとされる薩埵(さった)峠付近だ。断崖と海岸線に挟まれたわずかな隙間を、東名高速道路と国道1号、JR東海道本線が並走する。

急傾斜地で深礎杭のコンクリートを打設している様子。農道が狭く、使用できるアジテーター車は1.75m3積みの4トン車に限られる。この付近は事業範囲内にある四つの地すべりブロックの一つである山中ブロック。施工者は五光建設(写真:大村拓也)
急傾斜地で深礎杭のコンクリートを打設している様子。農道が狭く、使用できるアジテーター車は1.75m3積みの4トン車に限られる。この付近は事業範囲内にある四つの地すべりブロックの一つである山中ブロック。施工者は五光建設(写真:大村拓也)

 国土交通省中部地方整備局富士砂防事務所が由比地区で地すべり対策に乗り出したのは2004年。事業範囲は、南北約1.5kmに及ぶ海岸線に平行してそびえる合計60.98haの斜面だ。事業を実施するエリア周辺は地質が脆弱で、降雨による地下水位の上昇が引き金となった地すべりが繰り返されてきた。

 ただし、これまでに今回の事業範囲内が地すべり被害を受けたことはない。同事務所地すべり対策課の遠藤久巳課長はこう説明する。

 「地すべり地形だった由比地区の地質を調べると、地表から30~60m付近にすべり面があると分かった。最大で高低差100m以上、合計1000万m3の土砂が流出して、道路や鉄道を塞ぐ恐れがある。その場合、復旧には、約1年を要すると想定される」

写真左上に上の写真の現場がある。地すべりの状況は国土交通省が遠隔監視しており、変位を観測した場合、自動的に道路と鉄道の各管理者に情報提供する(写真:大村拓也)
写真左上に上の写真の現場がある。地すべりの状況は国土交通省が遠隔監視しており、変位を観測した場合、自動的に道路と鉄道の各管理者に情報提供する(写真:大村拓也)

 さらに、遠藤課長はこう続ける。「2001年に内閣府の中央防災会議で、東海地震で想定されるこの地域の震度が6強から7程度だと分かり、降雨だけでなく地震を考慮した事業の実施を決めた」。地すべり発生要因として地震も考えて、未然に対策を講じる事例は極めて珍しい。