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地下水位が10m以上も下がる

 対策工事では、地下水位が1938年の豪雨時に観測した最大水位を上回らないように地下水を抜く。そのうえで、深礎杭で土塊のすべりを抑える。2024年度ごろまでに事業を完了させる計画だ。

 水抜き工事では11年度までに地表面付近に対して21カ所の横ボーリングを、すべり面付近に対して23基の集水井を、それぞれ施工した。07年3月に完成した集水井付近では、地下水位が10m以上も下がるなど効果は表れている。現在、すべり面より深い位置から土塊内の水を抜くための排水トンネルを施工中だ。

 一方、深礎杭は合計61本。由比地区のすべり面は地下深く、土塊が厚い。しかも、すべり面の勾配が急だ。そのため、深礎杭の最大長さは88m、最大直径は6.5mに達する。地すべり対策を目的とした深礎杭としては国内最大級だ。

 半面、現場に至る既設の農道は狭く、アジテーター車は小型の4t車までしか通行できない。行き違いも困難なので、地元の車両に配慮して工事車両のUターンを避けた。そのため、行き止まりだった既存の農道に長さ1.5kmの工事用道路を取り付け、工事車両が一方通行で通り抜けられるようにした。

 これまでに施工した深礎杭10本は、いずれも直径5m。コンクリート打設時は、1日に延べ約70台のアジテーター車が往来した。今後は、直径6.5mの深礎杭の施工に入る。断面積はこれまでの約1.7倍だ。

 遠藤課長は、「小型のアジテーター車のままでは、打設が追い付かない。十分な幅員を持つ工事用道路を確保する必要がある」と考えている。