PR

 清水建設・岩田地崎建設JVが担当する中部横断自動車道八之尻トンネルの施工現場では、清水建設が初めてバイオディーゼル燃料(BDF)を使って建機を動かしている。トンネルから排出される土をダンプトラックに移す油圧ショベルに採用した。軽油を使う場合に比べて、現場でのCO2排出量を減らしている。

 廃油を精製するBDFは環境対策として有効であるだけでなく、建機の性能に悪影響を与えないことを確認した清水建設は、同じ中部横断自動車道の宮狩トンネルの工事で全ての建機にBDFを採用した。受注時の技術提案書でBDFの使用を積極的にアピールした結果で、同社の環境対策の有力な武器となっている。

新たな取り組みで失敗も経験

 建設現場でBDFを建機の燃料として使おうと提案したのは、清水建設JVの機電課長を務める前田全規氏だ。建機担当の技術者で宮狩トンネルも担当している。BDF利用の広がりについて、「よくここまで来られた」と感慨深げな前田氏。入社以来、担当した各現場で様々な提案をしてきた半面、失敗も経験した。

廃油を精製したバイオディーゼル燃料(BDF)と軽油の各サンプル。BDFは色がやや濃い(写真:日経コンストラクション)
廃油を精製したバイオディーゼル燃料(BDF)と軽油の各サンプル。BDFは色がやや濃い(写真:日経コンストラクション)

 1999年に清水建設に入社して間もなく担当した現場で、前田氏は苦い経験を味わう。あるトンネル工事の現場所長にいきなり「機械関係で何か一つ好きなことをやってみろ」と言われ、工事中のトンネル内に冷房装置を導入してみたが、十分な検討をせずに導入したアイデアの結果は、はかばかしくなかった。

 「アイデアを出せと言われてから考えるのではなく、普段から考えてアイデアをストックしておかなければだめだ」と、前田氏は痛感した。

 八之尻トンネルで現場所長を務める真下義章氏との最初の出会いとなったのは、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)のあるトンネル工事の現場だ。前田氏はこの現場でもミスを犯す。工期短縮を目指し、シールドマシンを使用している段階で部品の一部解体を始める試みに挑戦したものの、着手のタイミングが早過ぎて、シールドマシンの稼働に支障を来したことがあった。

 ただ、前田氏はさほど叱責されなかった。「積極策に出た結果として失敗するのは悪いことではない。今後も頑張れと励ました」(真下氏)。