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 人が足りない――。建設産業に身を置く方と話をしていると、必ずといっていいほどこの話題が出てきます。発注者も受注者も、技術者も技能者も、全てのカテゴリーで人材の不足感が強まっています。建設投資の減少に伴い、建設業の従事者は最盛期のざっと3分の2に減少しました。東日本大震災以降の公共事業の増加で、人不足が一気に顕在化した格好です。

 日経コンストラクション2月24日号では、そのものズバリ、「人が足りない!」と題した特集を企画しました。技術者と技能者でパートを分けて、人が足りない現状を取材し、問題解決の方策を探りました。


日経コンストラクション2014年2月24日号特集「人が足りない!」から
日経コンストラクション2014年2月24日号特集「人が足りない!」から

 特集記事では、いま建設業界に広がっている「人の取り合い」の実態についてもお伝えしています。民間企業から発注機関への転職に加え、従来はあまりなかった同業他社への転職も珍しくなくなってきました。業種を問わず若手の絶対数が不足していることから、「引き抜き」もタブー視されなくなってきているのでしょう(引き抜かれる側としてはたまったものではありませんが)。

 ただ、限られた人材を取り合っていても、全体の「パイ」を大きくしなければ事業量の増加には対応できません。いま、技能労働者の不足に関しては、政府が外国人労働者の受け入れ拡大を検討し始めています。しかしこの制度は、彼らが将来、本国で活躍するための技能を身につけてもらうのが目的。帰国してしまう外国人に、日本の建設産業の将来を託せるわけではありません。

 震災復興、国土強靱化、東京五輪と、あと数年は人材不足をしのがなければならない状況で、外国人労働者の受け入れや、引退した技術者・技能者の活用は有効な手段かもしれません。ですが、「その後」を考えると、なんとかして若手を建設産業に引き入れるしかありません。特集記事では、若手、なかでも高校生の入職を促す取り組みなどについても紹介しています。

 本誌では、一つ前の2月10日号で、「五輪後」の維持管理をテーマとした特集を掲載しました。2020年の先を見据えて手を打っておくことは、人材問題に限らず様々な分野で欠かせません。建設産業が将来にわたって持続可能な産業であるために、本誌は今後も情報を発信していきたいと考えています。