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いしばし・ただよし 1948年千葉県生まれ。70年日本国有鉄道入社。95年にJR東日本の構造技術センター所長、2008年に執行役員に就任。国鉄とJR東日本を通して、多くの災害復旧に関与。鉄道の設計基準の作成に携わってきた。12年から現職(写真:吉成 大輔)
いしばし・ただよし 1948年千葉県生まれ。70年日本国有鉄道入社。95年にJR東日本の構造技術センター所長、2008年に執行役員に就任。国鉄とJR東日本を通して、多くの災害復旧に関与。鉄道の設計基準の作成に携わってきた。12年から現職(写真:吉成 大輔)

都市部の構造物は、工事費が膨らむ。主な要因の一つは、現場を取り巻く厳しい制約を考慮しない設計にある。構造物本体の工事よりも、施工の段取りや仮設に膨大なコストと時間を費やしてしまう。設計者には、実際の現場で施工手順を知り、コストダウンに有用なヒントを読み取ることが求められる。

 だいぶ前の話になりますが、10年近くの工期を要したJR赤羽駅(東京都北区)の高架化が1998年に完了したとき、最終的に掛かった建設費を見て目を疑いました。

 かつて担当した東北新幹線などの高架橋と比べると、1m当たりの単価が桁違いに高かったからです。東北新幹線の高架橋は、1m当たり100万円台、高くても200万円だったのに、赤羽駅付近の工事単価はひと桁違う数字でした。

 どこにコストアップの要因があるのかを調べてみると、高架橋本体とは直接、関係のない仮設工事などを延々とやっていたことが分かりました。設計通りの本体を造るために、施工者は仮設などの段取りばかりをしていたのです。

 87年にJRが発足して以来、私たちが造るのは、在来線の駅を中心とした構造物が多くなりました。そのどれもが、多額の建設費を要していました。コストアップの要因がはっきり見えたとき、こう痛感しました。「同じタイプの高架橋であっても、広いスペースのある郊外と同じような発想で、街中の高架橋を設計してはいけないのだ」と。

 以来、都市部の構造物では、様々なコストダウンの工夫をしてきました。その一つが、2010年に完了したJR中央線の三鷹駅―立川駅間の連続立体交差事業です。