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 バブル景気に沸いた1980年代後半に、当時の竹下政権が推進した「ふるさと創生事業」。地域振興を目的に市町村に1億円ずつを配るという思い切った政策で、全国にはハコモノやモニュメントが次々と立ち上がりました。

 ただし、良くも悪くも話題になったのはほんの一瞬で、長い目で見て地域振興につながったケースは数えるほどしかなかったのではないでしょうか。このように、地方再生のお題目で進められた事業の中で、想定どおりの効果を上げられなかった事例は山ほどあります。

 そしていま、安倍政権が打ち出している「地方創生」。「地方が成長する活力を取り戻し、人口減少を克服する」という目標の下、地域活性化に向けた地方の取り組みを国が支援する仕組みです。

 地方創生は成功するのか。それとも、ふるさと創生の轍を踏むのか。日経コンストラクション3月23日号では、特集「土木で引き出す地方の力」を企画し、身のある地域活性化のためには何が必要なのか、考えてみました。


日経コンストラクション2015年3月23日号特集「土木で引き出す地方の力」から
日経コンストラクション2015年3月23日号特集「土木で引き出す地方の力」から

 冒頭で取り上げたのが、人口約5万8000人を抱え、高齢化が進んでいる大阪府高石市。健康で幸せを意味する「健幸」をまちづくりのテーマに掲げています。生活習慣病に関連する医療費を減らすために、市は「歩く」ことに着目し、人が歩きやすい道路整備を実践しています。市道の車線数を当初の予定よりも減らし、歩行者と自転車のための空間を充実させるという施策を採っています。

 ここまではハードの整備ですが、市民が歩きたくなるような「ソフト」の仕掛けも施しています。例えば、市民が歩いた「歩数」などに応じて、市内の商店で使える商品券を発行するといったインセンティブの導入です。つまり、道路整備が目的なのでなく、道路整備も商品券の発行も、「健幸」という目的を達成するための一つの道具にすぎないと考えているわけです。

 財政が厳しい折、かつての失敗を繰り返すことはできません。少ない予算を効果的に活用するための知恵が、今まで以上に求められています。