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 急斜面の現場で、資機材を運搬する大型仮設設備「インクライン」を敷設しながら、順次、運搬作業に利用する方法を、清水建設・鴻池組・広成建設JVが三井三池製作所と共同で考案・計画。広島県豊田郡本郷町に建設中の広島中央フライトロード・空港大橋(仮称)下部工建設工事で、活用していると清水建設が発表した。

 約7日間かけて1スパン6mずつインクラインの架台を敷設し、完成したところから資材運搬に使いながら、延長199mを完成させていく計画。当初予定していた油圧シリンダーによる敷設では、敷設と資機材運搬の同時並行作業が難しいことから、工事用仮設エレベータで一般的に使用されるラックアンドピニオン構造をベースに改良。インクライン向けに大重量物の運搬にも耐えられる構造とし、台車駆動部の歯車 (ピニオン)が、架台上に取り付けたはしご状のピン(ラック)とかみ合い、架台上を自走・昇降するようにした。

 適用現場の空港大橋(仮称)は、二級河川沼田川を挟む急峻な谷間に架かるアーチ橋。完成するとアーチスパン380mで日本一、橋長800mと橋脚高さ(最大96m)で国内最大級となる。清水建設JVが担当するのは、左岸の斜度34~38度の急斜面に位置する下部工4カ所の橋脚工事だ。

 現在、敷設作業は始点=最下部から138mまで進み、2001年10月には最上部に到達する予定。到達後は、ワイヤーロープ巻上式による昇降方式に切り替わり、資機材の運搬専用となる。