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 2011年春の開業に向けて、九州新幹線の建設が大詰めを迎えている。福岡県筑後市内の上北島高架橋の現場では、工事用道路を確保できず、工事が開業に間に合わない恐れがあった。施工者は受注後に門形クレーンの採用を提案。開業時期に影響しないように4年4カ月の工期短縮を図った。

 JR鹿児島本線に近接した場所に建設中の九州新幹線上北島高架橋。工事は終盤を迎え、調整桁や橋上の防音壁を施工している(写真:大村 拓也)
JR鹿児島本線に近接した場所に建設中の九州新幹線上北島高架橋。工事は終盤を迎え、調整桁や橋上の防音壁を施工している(写真:大村 拓也)

 現場に乗り込んだ大成建設・西武建設・柿原組JVの東輝彦所長は、受注した高架橋工事を工期内に終えるために、頭を悩ませていた。2006年1月ごろのことだ。

 大成建設JVは当初、高架橋を1基ずつ施工して施工個所を順に移動する「片押し施工」を採用するしかないと考えていた。しかし、これでは構造物の完成は2013年になってしまう。2011年春に予定している新幹線の開業に間に合わない。

 様々な方法を検討するなかで、東所長は10年前に見たある光景を思い出した。大成建設が携わった東京都内の小田急電鉄の複々線化工事で、門形クレーンを使って狭いスペースに高架橋を施工していたのだ。

 「早速、現場の条件に合わせた門形クレーンのイメージを描き出してみた。発注者に提案したところ、新工法にもかかわらず、すぐに採用してもらえた」。東所長はこう振り返る。

 現場は、福岡県筑後市内で建設中の九州新幹線の筑後野町高架橋工区。高架橋の両脇には、合計3台の門形クレーンが走行するためのレールが約400m続いている。

 門形クレーンは鉄筋などの資材を吊り下げ、荷取りヤードと施工個所の間を往復する。地中梁の施工から柱、スラブ、防音壁の設置に至るまでフル活用する。東所長が思い描いていた通りの施工状況だ。

 当初、本格着工から完成まで6年11カ月かかる予定だったのを、4年4カ月短縮。これなら工期内にしゅん工できる。工事費は門形クレーンを新規に製作したことで増額したが、工事用道路の借地料や復旧費用がかからないので、トータルコストは大差ない。

[現場概要]
●名称=九州新幹線(鹿児島)、筑後野町BL他工事●施工場所=福岡県筑後市大字上北島~大字常用●発注者=鉄道建設・運輸施設整備支援機構九州新幹線建設局●コンサルタント=中央復建コンサルタンツ(管理技術者:吉本史雄)●施工者=大成建設・西武建設・柿原組JV(現場代理人:東輝彦、元請けの技術者数:7人)●工期=2005年12月~2009年3月●主な専門工事会社=玉石重機(躯体工事)●工費=25億2500万円●入札方式=公募型指名競争入札●予定価格=27億1800万円