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 業績の悪化を受け、早期退職者を募って人員削減を進める建設会社などは少なくない。そうした企業では、1人当たりの労働時間が増加。過労死への不安から「過労死110番」への相談が増えている。

 「過労死110番」とは、業務上の過労やストレスが原因で死亡したり重度の障害を負ったりした場合について、弁護士や医師が労災補償などの相談に答える全国ネットワークだ。この「過労死110番」でここ2~3年、建設業で働く人やその家族からの相談が増えているという。

 「過労死110番」を運営する過労死弁護団全国連絡会議の事務局長、玉木一成弁護士は、「現場監督を務める人から『担当する現場の数が以前より多くなり、労働時間が増えた』といった相談をよく受ける」と話す。

 「過労死110番」では年に数回、専門の弁護士らが電話口で直接、相談に応じる「過労死・過労自殺110番 全国一斉電話相談」(以下、電話相談)を実施している。2007年と2008年に実施した電話相談では、建設業で働く人から以下のような相談が寄せられている※。

 例えば2008年11月22日の電話相談では、立ち上げたばかりの部署に配属されたという男性が「毎日、帰宅は深夜零時ごろになり、休日もほとんど出勤しているのに残業代はもらえない」と話し、こうした勤務状態が自身の健康を害する恐れがあると訴えた。

 2008年6月14日の電話相談では、下請け会社の作業員として派遣されたという50歳代の人(あるいはその家族)から「運転手として週に6日働き、1日当たり4~5時間、残業した結果、着任してから3カ月目に脳梗塞を発症した」という相談が寄せられた。

 さらに、測量コンサルタントの男性は、平日は午前6時から深夜2時まで勤務し、土曜日も出勤する長時間労働が続いたという。そして、「上司からは『仕事が遅いのはお前らのせいだ』と言われ、出勤する気力もなくなってしまった」と話している。

 2007年6月16日の電話相談では、30歳代で過労死した男性の遺族からも相談が寄せられている。遺族の話によれば、この男性は交代制の土木関係の仕事に従事。長時間残業で2時間しか睡眠がとれないこともある激務で、不整脈で死亡したという。

外勤者は3人に1人が月100時間以上残業

 日本建設産業職員労働組合協議会(日建協)によれば、建設業では経営環境の厳しさから近年、組合員1人当たりの業務量が増加する傾向にあるという。

 例えば、日建協が2008年8月に発表した「中期時短方針2008」によれば、2007年11月の所定外労働時間が80時間を超える組合員は、全体の約3割を占めている。さらに外勤者に絞って見ると、およそ3割が100時間以上、所定外労働をしていた。

2007年11月における組合員の所定外労働時間の分布。外勤者は約3割が100時間以上となっている(資料:下も日建協)
2007年11月における組合員の所定外労働時間の分布。外勤者は約3割が100時間以上となっている(資料:下も日建協)

 組合員の健康に対する不安も高まっている。自分の健康に対して「不安がある」と答えた組合員は6割以上。そのうち、「健康不安の理由は長時間労働だ」と答えた割合は、所定外労働時間が80~100時間の組合員で79.5%、同100時間以上の組合員で85.1%と高かった。

組合員の健康に対する不安
組合員の健康に対する不安

※掲載した電話相談の事例は「過労死110番」のホームページに掲載しているものや過労死弁護団全国連絡会議の資料から抜粋した。